紫陽花の花を数える

 

鈴木志郎康

 
 

紫陽花の花が咲き揃った。
思わず
花数を数える。
一つ二つ三つ四つ、、、
全部で二十。
いや、
真ん中のあたりで、
花が重なってる。
数を数えられるから
数える。
数え切れないほど多ければ、
無数だ。
ビョウヤナギの花は
数え切れない。
無数だ。
桜の花って、
いつも無数だ。
一つ一つの花が
異なっていても、
無数だ。
紫陽花の花は
一つ一つ
大きさも、
色合いも、
違う。
一つ一つが
違う。
違うから
数える。
一つ一つの
違いが、
見える
紫陽花の花だ。

 

 

 

花のアップを取り損なった

 

鈴木志郎康

 
 

咲きそろった
庭の
ビョウヤナギの黄色い花々。
その一つを
アップで撮ろうしたが、
身体がふらふらして、
しっかりと立って
居られないので、
花が
ズームした
画面から外れて、
アップの写真が
撮れない。
ふっと、
感情が
湧き起こる。
この感情は、
初めての経験。
まさに経験。
できなくなった、
身体の経験なんだ。
どうしょうもないね。
庭の花も、
わずか五メートル
離れた
遠くから
眺めてるだけ、
ってこと。

(実はわたしは、
若い頃、
プロフェッショナルな
カメラマンだったのだ。
ふむ、ふむ。)

 

 

 

紫陽花の花はいいなあ

 

鈴木志郎康

 
 

紫陽花の花が
咲き始めた。
毎年庭のコンクリートの塀ぎわに咲く
紫陽花の花が
まだ緑色の小さな蕾の隣に、
もう薄紫に色を変えた
大きな花が重く揺れている。
朝方
朝食の後に眺めて
ベッドに戻る。
昼食の時
テーブルに起きて
紫陽花の花を
昼間の日差しに眺める。
日暮れには、
またベッドから起きて
暮れなずむ光に
また眺めて、
紫陽花の花との
一日が終える。
その後に夕食。
紫陽花の花は
いいなあ。
って、言葉にして
言ってしまうと、
ただ眺めてるときの
気分と
ちょっと
違ってしまう。
面白い。

 

 

 

夜の瞑想

 

鈴木志郎康

 
 

雨の夜
窓のカーテンを
閉めて
わたしは
テーブルに寄りかかり
昼間の庭に
ビョウヤナギの黄色い花が
咲き揃っていたのを
思い浮かべて、
瞑想する。
今日も
充分に食べて用も達した。
下剤無しでは排便できないってことも、
こんな風に
わたしは生きて行くのだ。
ビョウヤナギの沢山の花は
咲いては
散って行く。
この先、
わたしは
何年生きるのか。
家の中で
歩行器無しには
歩けない。
外に出るってこともない。
ベッドで
テレビの画面に映る
世間の出来事に、
現を抜かしているってこと。
これが、
今の、
このわたしつてことよ。
しつっこいぞ。

 

 

 

麻理が笑っている

 

鈴木志郎康

 
 

麻理が笑った
笑っている
隣のベッドで
テレビを見ていて
芸人の言葉に
声をあげて
笑っている
笑っている
その声に
わたしは
急に
奥深い
悲しみに
襲われる
何時か訪れる
進行性難病の
麻理が
いなくなったときの
悲しみの
前触れだ

 

 

 

八十三歳の優しい気持ち

 

鈴木志郎康

 
 

庭のビョウヤナギの花が
次々に咲いて、
初夏の
爽やかな風に揺れている
2018年の、
五月十九日の
今日、
わたしは、
八十三歳になった。
なってしまった、
ね。
ね、
相手に向かった、
ね、という終助詞。
そのねの相手って、
誰なんだろうね。
ね、
っていうと、
優しい気持ちになってくる。
八十三歳で、
優しい気持ちになってくる。
なんか、
いいね。

 

 

 

久しぶりの詩を書いたってわけ。

 

鈴木志郎康

 
 

ベッドでテレビ見てて、
あくびしちゃった。
眠くなって、
眠っちゃった、
眠っちゃった。
で、それで
眠っちゃった、
という言葉が
想い浮かんだんだね。
テレビでやってたのは、
座間の九人殺害事件容疑者白石隆浩容疑者のことばっか、
自殺願望のある女たちを部屋に誘い込んで殺したってことばっか、
初来日のイバンカ・トランプ大統領補佐官のことばっか、
薄いブルーのコートで羽田空港に降り立ったってばっか、
あくびが出て、
眠っちゃった、
という言葉になって、
ここに、
書き留めたってわけ。
いやぁ、
久しぶりの詩を
書いたってわけ。

 

 

 

勝手に孫の中学生の鈴木ねむちゃんに代わっての短歌 その二

 

代作 祖父のシロウヤス

 
 

麻理母さんちの庭に
水を撒いたら
百合の花が笑った
お母さんと同じ名前の花

坂道を自転車で
すーいすーい
気持ちいい
わたしは重力

世界史って戦争ばかり
日本の平和を七十年を生きた
女の人を
漫画で描きたいわ

 

 

 

勝手に孫の中学生の鈴木ねむちゃんに代わっての短歌 その一

 

代作 祖父のシロウヤス

 
 

お姫様
目に涙を描くと
キューンと
こころが痛む

わたしが
絵を描くと
みんなが褒めてくれる
どんどん描いちゃう

自転車の後輪は
前輪にいつも素直に従ってる
二人の仲は
本当なの

 

 

 

勝手に孫の小学4年生の鈴木はなちゃんに代わって俳句10作

 

代作 祖父のシロウヤス

 
 

大雨や
夜遅くまで
語り合う

運動会
思いっきり
走りたい

運動会
不意の地震に
皆走る

大雪や
登校の朝
すってんころりん

ばあちゃんは
老病介護で
じいちゃんを

分数は
分子と分母
なぜ親子

日本国
菊の御紋が
恐ろしい

コスモスや
漢字で書かれて
はずかしい

組みダンス
大空の下
皆すてき

菜種粒
水吸って芽出す
力 何