山崎方代に捧げる歌 31

 

私が死んでしまえばわたくしの心の父はどうなるのだろう

 

義兄は逝った

留萌から兄さんと
群馬から

けいこさんが来た

義兄を焼いた
太い骨になった

内陸縦貫鉄道と五能線で深浦までいった

死んでしまえば
わたしの心の父はどうなるだろう

深浦の海をみた
あの世に持ってゆく

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 30

 

こおろぎが一匹部屋に住みついて昼さえ短いうたをかなでる

 

今朝

義兄は
この世にもどってきた

猫は
散歩にでかけていった

カタユキの雪原を渡っていった
鳥海山は白く佇っていた

仏壇の母にありがとうといった

さよならとも
いった

ひくく台所で呻いた
姉がだまって聴いてた

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 29

 

桑の実が熟れている石が笑っている七覚川がつぶやいている

 

義兄が倒れて

秋田に
見舞いに来ている

母の三回忌でもある
泣いた姉に会った

まゆみさん
けいこさん
一平ちゃんに会った

会ってもやがて別れるが
会えてよかった

オトテールのリコーダーを浴室で聴いた

岡 花見さんから教わった

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 28

 

コップの中にるり色の虫が死んでおるさあおれも旅に出よう

 

会社で
花束をもらった

ありがとうと言った
それで

少し
飲みすぎたかもしれない

昨日
一日寝ていた

ほんとに24時間寝ていた

頭痛と
発熱があり

起き上がれなかった

そろそろ
旅に出かける時なのだろう

海を見にゆく

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 27

 

丘の上を白いちょうちょうが何かしら手渡すために越えてゆきたり

 

麓には動物園がある

丘の上の
舞台芸術公園の駐車場から不二をみてた

このところ

なんどか
みた

不二は雪をかぶっていた

空は青く
竹林が揺れてた

サハラを見たことがある

背中だね

動物は語らない
みている

 

 

 

ぎが

 

夜中に目覚めた

それで
朝になった

おじさんは
朝にはなるんだね

ぎがを
聴いてた

知久寿焼さんの歌うぎがを聴いてた

金色の髪の毛のぎが
10回払いで買ったぎが

おじさんは
会社辞めます

三月に会社をやめて詩人になります

お金のために働いた
のでなかった

きみたちのためにも働いた

 

 

 

浜辺にて

 

おじさんに友はいた

だが
おじさんは

友をあてにする

わけには
いかない

真理も
普遍性も

あまりあてにできない

浜辺で
海をみてたりする

うぬぼれでもない
ロマンチックでもない

この波だった

きみのためではない
わたしのためでもない

ポリフォニーのなかにいた

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 26

 

私に早く帰ろう水楢の落葉の下に早く帰ろう

 

夜中に
林拓のあざらしの恋を聴いてる

昨日は
神田の鶴亀で飲んだのだったか

おじさんたちの隣りでひとり
飲んだのだったか

おじさんたちには友がいた

おじさんは
おとなしい

あざらしの息吹のように飲む

早く帰ろう
早く帰ろう

 

 

 

きみの生まれた朝に

 

きみの
生まれた朝

おめでとうという

まだ

きみは
ねむって

いるね

きみの
生まれた

ありがとうという

なんだか
谷川さんの詩みたくなってきた

ごめん
ひどいやつだから

なにも
あげられない

なにもぼくにはないんだ

さよならと
ない

だけが
きみとぼくを支えてる