新・冒険論 18

 

帰ってきた

過ぎて
いった

工藤冬里は

<詩とは言葉を出す場所を決めることだ>

そう
書いている

そういうふうにして
歌はいないきみに向けて歌った

今朝も

Thinking”Bout Youを聴いてる

昨夜は
義母のベットのしたで寝た

トイレに連れていった
義母の小水の音を聴いてた

 

 

 

新・冒険論 17

 

帰ってきた

過ぎて
いった

景色は流れていった

きみは

工藤冬里の「棺」という名の詩集の
詩を

読んでいた

<そういう風にして、再びノスタルジーの契機さえ捉えることが出来るようになる>

そう
書かれていた

過ぎて流れていった
後に

そういう風にして

歌は
生まれた

 

 

 

新・冒険論 16

 

帰ってきた

ここのところ
歌を

聴いてた
工藤冬里の

徘徊老人を聴いてた
海まで走っていった

それから
Thinking”Bout Youも聴いた

きみはいないが
歌は渡る

歌は
鳥のように渡る

そこに
きみがいる

今日

姉に電話した

留萌から帰ってきたと姉は言った
電話の向こうで笑った

 

 

 

新・冒険論 15

 

帰ってきた

奥羽線と
山形新幹線で帰ってきた

もう
ひと月になる

車窓から平らな海を見た
林の向こうに山々を見た

そこから
帰ってきた

平らな海を見た
こんもりとした緑の山々を見た

歌だった

そこに
歌の形があるのだった

流れていった

林の向こうに
霧は

流れていった

 

 

 

新・冒険論 14

 

車窓から平らな海を見た
林の向こうに山々を見た

それから
帰ってきた

姉の家に帰ってきた

〆張鶴だったか

お酒を飲んだ
たくさん飲んだ

姉と歌を聴いて飲んだ

この空を飛べたらと
わかれうたと
夢の途中と
恋人よと
小春おばさんと
人生が二度あればと

姉と聴いた
姉と飲んだ

 

 

 

新・冒険論 13

 

高速バスで

姉の
家に帰った

線香を二本たてた

義兄と
母と

お盆には帰っているのだろう

昨日は
姉に矢島まで車で送って貰った

由利高原鉄道で羽後本荘に降りて

酒田
新庄とまわって湯沢に帰ってきた

車窓から平らな海を見た
林の向こうに山々を見た

そこにいた
そこにいる

 

 

 

新・冒険論 12

 

売れないですね
といった

着想もなく

生を
受けて

この世を生きてきた

わたしではなく
あなたでもない

夕方
モコと散歩した

着想はなかった

生に
着想はないだろう

売らない

この生を
売るわけではない

広告ではない
きみに囁く

いないきみに囁く
いないきみに無い声で囁く

 

 

 

新・冒険論 11

 

工藤さんに
売れないですねといった

脱システムは売れないですねといった

なにも応えなかったが
工藤冬里さんの音楽は脱システムだろう

マイナー音楽は売らない

物語を
売らない

わたしではなくあなたでもない

佇ち
歩き

バスに乗りバスを降りる

光っていた
流れていった

 

 

 

新・冒険論 10

 

帰って
ホヤで姉とビールをのんだ

高速バスに乗った

新宿から
山手線で上野にでた

それから御徒町まで歩いて
西口焼きトンで荒井くんとのんだ

荒井くんとマヘルの”Lotus on maher”にいった

ここに脱システムはあった

工藤冬里さんにわたし
脱システムは売れないですねといった

 

 

 

新・冒険論 09

 

高速バスを降りた

横手から
電車で湯沢まで行った

途中
醍醐という駅を通った

醍醐は涅槃のことなのかな
緑の山々がこんもりと女のように過ぎた

姉は迎えに来てくれてた
姉の家では義兄と母に線香をあげた

同窓会では
幼い俤が残った顔たちをみた

通過していった
光っていた