山崎方代に捧げる歌 13

 

あばら家に突っかい棒して住んでいる死にたくもなく思わなくなっている

 
 

朝にはモコと散歩した
道端の草花をみて綺麗と思った

海辺の病院の七階から海を見た
平らだった

静かで
淡い

感じというの

死んでゆく自分をみていた
ナースセンターの前で老婆が叫んでいた

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 12

 

明け方の酒はつめたく沁みわたるこれも供養というものなのだ

 
 

夜中に
目覚めた

枕元の
茶を飲んだ

もう
朝になる

月が青空にいる

白く
いる

昨日は長崎に原爆が落とされた日だった

長崎では
飛ばされた石の天使の首をみた

教会の鐘が鳴るのを聴いた

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 11

 

一本の傘をひろげて降る雨をひとりしみじみ受けておりたり

 
 

また
朝になった

西の山の
上の

月は

浮かんでいる
蝉の声を聴いている

このまえ比呂美さんは国分寺の講演で

着地点はわからない
踏切地点を探すのだといった

若い俤があった
底が抜けてた

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 10

 

声をあげて泣いてみたいね夕顔の白い白い花が咲いてる

 
 

また
朝になった

蝉の声のなかで
ユージさんのシンフォニアを聴く

そこにはなにも無いが
波動だけが

ある

昨夜
七階の病室で

モコが待ってるよといった

義母は入れ歯を外した口で
はにかんで笑った

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 09

 

そして夜は雨が激しく降ってきてただ暗がりにひとり寝るだけ

 
 

朝になった

蝉たちが
鳴いている

昨日
寝室にモコを連れて

寝たら

モコは
騒がしいので一階におろした

扇風機だけでは
暑かったんだろう

蝉の声のなかで
ユージさんのシンフォニア11を聴く

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 08

 

見て御覧なさい古来よりほおずきは只赤く熟れて下れる

 
 

義母は大腿骨の付根にチタンの関節を入れた

天井を見上げて
痛いんか

と言った

昨日
姉妹たちが来て

朝までベット傍にいてくれた

そう
言った

誰にもいない幽霊はいる

眼を瞑れば
見える人がいる

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 07

 

死ぬ程のかなしいこともほがらかに二日一夜で忘れてしまう

 
 
一昨日かな

義母が
入院した

夏風邪をひいて
病院に行き

待合室で転んで大腿骨を折った

義母は
わたしを

ミッちゃんと呼ぶ
たまに間違えてムッちゃんとも呼ぶ

まあ
大差ないね

ふたりで笑う

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 06

 

戦争が終った時に馬よりも劣っておると思い知りたり

 
 

昨日は
仕事を切り上げて帰った

海をみて
帰った

夕方の浜辺に
ヒトビトも

いた
海をみていた

どうなんだろう

かわらないもの
うちよせる波

夕食後に西瓜を食べた
夜中にカザルスの鳥の歌を聴いた

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 05

 

ネクタイに首をくくりていでくれば町は働く人ばかりなり

 

一昨日の

朝も
モコと散歩にいった

赤紫の白粉花が
咲いてた

紫の朝顔も咲いていた

それから
仕事にでかけていった

こだまから
青い海をみていた

素数の椅子に座る
青い海が平らにひろがっていた

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 04

 

とぼとぼと歩いてゆけば石垣の穴のすみれが歓喜をあげる

 

朝に
めざめて

モコを庭におろす

おしっこを
させる

モコは
いつも上目遣いに

わたしをみてしゃがんでする

朝には
ユージさんのシンフォニア11を聴く

くりかえし聴く
それからモコと散歩にいく