新・冒険論 06

 

今朝
雨が降っている

夜中にモコに起こされた

雨の庭で
モコにおしっこをさせた

それからソファーに横になったが

眠れなかった
波多野睦さんの冬の旅を聴いた

ただこの世の生を受けた

南天の白い花がひとつひらいた
昨日

着想はなかった
着想もなく生を受ける

生に着想はない

 

 

 

新・冒険論 05

 

この世を
生きてきた

着想もなく

生を
受けて

この世を生きてきた

黒い蚊が右眼の視線の外にいる
視線の外に

断崖から海が平らにみえたことがある

この世も
平らだろうか

この世がデコボコに見えるとそのヒトはいってた

今朝
モコと散歩した

燕たちが曲線を曳いて飛んでいた

 

 

 

新・冒険論 04

 

蚊が
飛んでる

右眼の視線の外にいる

このまえ
映画をみた

ON BODY AND SOUL
ハンガリーの女性監督の作品だった

夢のなかに鹿がいた
食肉処理場で牛の首が落とされた

そこに
男と女はいた

どうなんだろうか
着想がないという着想だった

今朝
物干場で磯ヒヨドリの声を聴いた

 

 

 

新・冒険論 03

 

今日も

着想がない
ここのところ

チェット・ベイカーと
パッヘルベルのカノンを聴いている

戸川純も歌ってた

昼過ぎに眼医者から帰った
飛蚊症だそうだ

右眼の視線の外に
蚊が飛んでる

黒い蚊がいる

そこに
林があった

霧が
風に流れていった

着想がないという着想だった

 

 

 

新・冒険論 02

 
 

ここのところ
チェット・ベイカーを

聴いてる

桑原正彦は
声に幽かな揺れがあるよね

といった

昨日は
歯医者で顎骨にチタンの柱を刺した

帰りに海をみた

モコを病院に連れていった
左足に腫れ物ができてしまった

今朝
着想もなく詩を書いてみた

着想もないという着想だった

 

 

 

新・冒険論

 
 

ここのところ
チェット・ベイカーを

聴いてる

どこがいいのかな
全部が

いいの

嵐が過ぎていった
風なのよ

風が吹いて
霧が流れていった

林が
みえた

神田で小雪さんと会った

バー鳥渡で
谷川さんの詩がいいとは思いませんて

言っちゃった

ローマ字で詩を書けよ
女を書けよ

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 31

 

私が死んでしまえばわたくしの心の父はどうなるのだろう

 

義兄は逝った

留萌から兄さんと
群馬から

けいこさんが来た

義兄を焼いた
太い骨になった

内陸縦貫鉄道と五能線で深浦までいった

死んでしまえば
わたしの心の父はどうなるだろう

深浦の海をみた
あの世に持ってゆく

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 30

 

こおろぎが一匹部屋に住みついて昼さえ短いうたをかなでる

 

今朝

義兄は
この世にもどってきた

猫は
散歩にでかけていった

カタユキの雪原を渡っていった
鳥海山は白く佇っていた

仏壇の母にありがとうといった

さよならとも
いった

ひくく台所で呻いた
姉がだまって聴いてた

 

 

 

山崎方代に捧げる歌 29

 

桑の実が熟れている石が笑っている七覚川がつぶやいている

 

義兄が倒れて

秋田に
見舞いに来ている

母の三回忌でもある
泣いた姉に会った

まゆみさん
けいこさん
一平ちゃんに会った

会ってもやがて別れるが
会えてよかった

オトテールのリコーダーを浴室で聴いた

岡 花見さんから教わった