新・冒険論 14

 

車窓から平らな海を見た
林の向こうに山々を見た

そこから
帰ってきた

姉の家に帰ってきた

〆張鶴だったか

お酒を飲んだ
たくさん飲んだ

姉と歌を聴いていた

この空を飛べたらと

わかれうたと
夢の途中と

小春おばさんと

人生が二度あればと

姉と聴いた
姉と飲んだ

 

 

 

新・冒険論 13

 

高速バスで

また

姉の
家に帰った

線香を二本たてた

義兄と
母は

お盆には帰っているのだろう

昨日は
姉に矢島まで車で送って貰った

由利高原鉄道で羽後本荘に降りて

酒田
新庄とまわって

湯沢に帰ってきた

車窓から平らな海を見た
林の向こうに山々を見た

そこにいた
そこにいる

 

 

 

新・冒険論 12

 

売れないですね
といった

着想もなく

生を
受けて

この世を生きてきた

わたしではなく
あなたでもない

夕方
モコと散歩した

着想はなかった

生に
着想はないだろう

売らない

この生を
売るわけではない

広告ではない

きみに囁く

いないきみに囁く
いないきみに無い声で囁く

 

 

 

新・冒険論 11

 

工藤冬里さんに
売れないですねといった

脱システムは売れないですねといった

なにも応えなかったが
工藤さんの音楽は脱システムだろう

マイナー音楽は売らない

物語を
売らない

わたしではなくあなたでもない

佇ち
歩き

バスに乗りバスを降りる

光っていた
流れていった

 

 

 

新・冒険論 10

 

帰って
ホヤで姉とビールを飲んだ

高速バスに乗った

新宿から
山手線で上野にでた

それから御徒町まで歩いて
西口焼きトンで荒井くんと飲んだ

荒井くんとマヘルの”Lotus on maher”にいった

ここに脱システムはあった

工藤冬里さんにわたし
脱システムは売れないですねといった

 

 

 

新・冒険論 09

 

高速バスを降りた

横手から
電車で湯沢まで行った

途中
醍醐という駅を通った

醍醐は涅槃のことなのかな
緑の山々がこんもりと女のように過ぎた

姉は迎えに来てくれてた
姉の家では義兄と母に線香をあげた

同窓会では
幼い俤が残った顔たちをみた

通過していった
光っていた

 

 

 

新・冒険論 08

 

昼ごろ
ソファーに

モコは
眠っていた

眼が開いていた

重いリュックを背負い駅に向かった
途中でランタナのオレンジ色の花をみた

それから電車を待ち

電車に乗り
電車を降りて

高速バスに乗った

高速バスからは灰色の海をみた
暗い緑の山々をみた

通過していった
光っていた

 

 

 

新・冒険論 07

 

一昨日だったのかな

テトラポットに
しろい波が砕けるのをみていた

昨日も
河口まで歩き

海をみてた

河口には
サーファーもノラもいなかった

磯ヒヨドリはいた

テレビでは金髪の花札男とロケットマンが握手していた

そこに
自己利益はあるのか

着想はなかった
生に着想はない

 

 

 

新・冒険論 06

 

今朝
雨が降っている

夜中にモコに起こされた

雨の庭で
モコにおしっこをさせた

それからソファーに横になったが

眠れなかった
波多野睦さんの冬の旅を聴いた

ただこの世の生を受けた
南天の白い花がひとつひらいた

昨日

着想はなかった
着想もなく生を受ける

生に着想はない

 

 

 

新・冒険論 05

 

この世を
生きてきた

着想もなく

生を
受けて

この世を生きてきた

黒い蚊が右眼の視線の外にいる
視線の外に

断崖から海が平らにみえたことがある

この世も
平らだろうか

この世がデコボコに見えるとそのヒトはいってた

今朝
モコと散歩した

燕たちが曲線を曳いて飛んでいた