極地にいる人ごみ

 

爽生ハム

 
 

軽蔑したわたしがそこにいました。液状化していたようです。
言って。声とか
維持できないなら共犯になるな
わたしはそう語るよ。確認できない速度で、漂泊して
周りからみれば、わたしたちは剥製。この剥製が嫌味なく不幸だと、わたしは生き返る。日常と離れれば離れるほど、わたしは生き返る。図らずも共犯手前の、わたしたちに似た形が見つかったよ。鈴の音はいつもルールだった、仮に、演じる。凍らせて展示した白熊の絶交。肉っけがあって美味しそう。自由気ままな湿地はどこよ、頭は使いたくない、餌だけちょうだい。だって、気ままは老いて枯れるよ。

 

 

 

くすねる

 

爽生ハム

 

 

空気を口で吸うな、つまり食べるなと、酷く卑猥に叱られました。

空気は鼻で吸うもんだって教えてもらった日から、先生は、まあまあ昔も、特に卑猥ではあった。これからもいんちきな顔をするはずだよ、昔からね。
その教わった日の先生は、
その教わった日に生きた私は、
呼吸困難になりながらも、何処かで見た呼吸の断面図を
スマホからとりだしたはず。

卑猥で漬けた口は赤面していた。
私の口でも、先生は入る。
逆撫でして照らした口への道中で
空気と呼べる存在は、
見あたらなかった。
存在しなくてよかった。

ありがとう、死ね。見あたるなんて食べ損ねた貧困層がやる事だから。

先生みたいな、私みたいな
そこらへんの美術教師よりも面白い授業ができてしまう人は、
楽しそうに磁場にとびこめるんだよ。

 

 

 

声かけ

 

爽生ハム

 

声をかけそびれた 普通そんなことじゃ何も変わらないのに
時空曲げてまでも会おうとした
普通そんなことじゃ何も変わらないのに
声が憎憎しいうちに
大声で声かけしよう
人に迷惑かけても 普通そんなことじゃ何も変わらないのに
私にとってだけ
唯一の迷惑を逃したくない
声かけそびれた
小声でしおれちまった
喉が焼けただれた
声が肩に触れてしまった
時空曲げてまでも会おうとした
声かけそびれたまま
ツラいタイムスリップ

 

 

 

教室協議で負ける子を決めよう

 

爽生ハム

 

 

貰い受けた危険、
露光してく下校、
コミュニケーションとるから
いつも生かして。

美しく歩く人間がいるかぎり、
踏んづけても雨。りそな銀行へ
惨めな人。後ろをふりかえる
雨。雨。
造形物のない場所にいる
それでも雨。明日、
時間ごと褒められて、発狂しそう

わたしは惨めな人、惨めな人を好きになりたくはない。

 

 

 

東京タワーが排泄物になっちゃった

 

爽生ハム

 

 

壊したかも、橙の電波で。朝と夜の気温差に穴をあけようとする。なんて楽な作業なのだろうか。私は何もしない。考えない。
帰り道にいても、足りない気がする。もっと帰りたくなる、東京の大きい国道を歩く姿などはもっと、危険とかに、さらわれればいいのに。なんだお化けか、人か、よくわからないな。夜の国道でトラックにひかれるのはどう。ネオンはどう。静まりかえったすれ違い。エッチしようよ。こういう幸せはなかった。言葉なんて人前でちゃんと話せないから。体で人前を満たそう。徒歩二分で朝食がいただける場所に着くまでに、首を締めた跡が消えてる状態にしたいから、今、漢方を飲んどくよ私は。首が街に晒される。穴をあける。落書きで交わす署名がとおる日常。

 

 

 

バイバイ

 

爽生ハム

 

 

連れていって路面の羊たちよ、私らを波止場へ連れてって
連れて、

呼吸はほっさのダンスで連れてっ て、波止場とハンカチを求めてるから。ハンカチの姿、私の胸ポケットで水を吸う。私の胸ポケットで泣け、

葬るしょうもない何かがバイバイや。
もしかしたら
人の涙を願ったりカッコつけたり、偽善だった、あの拭いてくれは私の笑顔でねじこまなければ、いけない?消失ごと?

ぞっくりと…

細工する姿を見つめ、ひと息したら…皆の涙を拭いて回りたい。

その頃の、私は何かにつっかえて消えてるだろう。ハンカチで人の涙を持ち帰って嬉しさ反面、すぐに洗濯機に入れて、もう捨てるのさ。

 

 

 

画角

 

爽生ハム

 
 

はだけた隙間につやの美しい木目調の机を入れる。座らせるのは命より大切な脚。回路を変えてみたらはじまる。鬱血の小さな荷物。
聞こえてくる。小さな噂話。
誰が権力を持ちましたか。
上手いのは誰でしょうか。
均衡のとれた強さなど。
ふたつの耳の穴には。
聞こえてきますか。
記憶に留めれば。
乾燥しそうで。
そんな映画。
苦しいね。
誠実に。
窮屈。
性。

 

 

 

質素

 

爽生ハム

 

かたまりがある
かたまりは危うくて
かたまりはたゆむ
三人の笑みがひきつり
私は貴方でかたくなる

鈍器をもって跡形もなく
三人は争う
かたまろうずっと
かたまろう私から
かたまろう貴方から
そして意味深に暮らそう

頼っていいはず
かたまりに
忘れていいはず
かたまりなど

今までの弱さに戻らなければ
快楽は三人に喪失を与え続ける

かたまりに戻ろう

 

 

 

共喰い

 

爽生ハム

 

均一なお祭りに参加し
青年のように神輿を担ぐ
ひとつずつ性欲を剥がすようにして
これは男だ
これは性としては男よりだと
いざ立ちあがる
作句と風流に
はみだしそうな感想をつめこむ

地団駄踏んでいた
性を超えた存在への
肥やしをひた隠しにしていた
自分の性別
いかに男を存在させるか
いかに女を装うか

厚い化粧のしたに
おはようからおやすみまでの
性欲が縦横無尽に待機している

口を開けば
好きだ嫌いだの判定がくだる
口は半開きで灰色の
どっちつかずを許している

女であるという体を
男であるという体がねじ込む
凸凹に閉じ込めた
人の液と液を交換する行為は
普通に愛でれる

液状から産まれる命が
常識としての赤ン坊でも構わないが
それが人間を殺すという感情でもいいし
人間を褒め称えるという感情でもいい
ともかく
交換によりお互いの未来が描かれつつある
そのダイアグラムに
存在意義を感じる

原型も元通りに戻らなくてもいい
交換を終えて
からのお互いは強気な動物として
交尾に神秘性をのせていたい

この液から人間が産まれるんだ
この液は汚物であり
比較的には正義であると
好きに子供を産んで好きに未来を生きる動物の性に感銘を授けたい

男の子でも女の子でも
嬉しいように
産まれたからには
両性に立ち返る人間を見てみたい

そして死ぬまでの間に
男と女をひとりの人間に詰め込むんだ
結果として
私達は性を行き来していた
その結果が感情の揺れとして
人間を揺さぶっていたんだと