秋の空

 

尾内達也

 
 

 

なんとも言いようがないことを
木に言う
朝の寿公園の大銀杏に言う
言葉にならない言葉で
木に語る
幹を撫でながら
皮膚で語る

人間には話しようがないから
銀杏に話す
それは愚痴ではなく
沈黙でもなく
なんとも言いようがないから
なんとも言いようがないのである

遠く市役所の工事の
クレーンが
秋の空へ
突き刺さっている

銀杏の幹は
松よりもあたたかい

なんとも言いようのないことを
皮膚で読んでみる

 

 

 

中途半端な頭の良さを誇って友達を愚弄する者

 

尾内達也

 
 

 

まあ これはわたしのことなんだが
よくできているので記念に
残しておこうと思って
いや 友達と喧嘩して
彼の買い言葉だったわけよ
売り言葉はなにかって
安倍の金魚の糞!
夏だから
夏の季語で売ったのさ

安倍さんも罪なものよ
地方の純朴な男を騙して
悪いようにしないから
わたしについてきなさい
まるきり
からだめあての男のセリフだあね
実際 モノ言わぬ労働身体が欲しいのだろう
経済成長という名の国家利権村への利益還流には!
そういう体制を入念に作っておいて
なにが経済成長しなきゃダメだだよ
公正な再配分などする気もないくせに
若者はここに怒っているのさ

安倍さん親衛隊は地方に多い
(精神的な地方者も含む
NHKニュースを乗っ取ったのは
地方で一番信頼されているからさ
ケン・ローチ監督の最後の作品
I, Daniel Blake
ダニエルは地方のニューキャッスルの大工なのさ
心臓を病んで仕事ができなくなって
傷病手当をもらいに役所へ行く 
金を出さない役所 金よこせよ
そりゃ国家官僚機構とガチでぶつかるわな
するとなんと
仕事を探すように仕向けられる
心臓病なのに
ダニエルは人間だが
連中はロボットだから
勝てるわけがない
AIのAlphaGoに
人間の棋士が勝てないのと同じだよ

安倍さんも国家官僚機構を
操ってさんざん悪事を働いてきたよね
原発再稼働に
学園物語
戦争社会体制に
200÷11おじさん
強姦までやらかして
防衛省・自衛隊・防衛大臣と唱えたかと
思ったら
最後は
ハゲーって叫んで
にげちゃった 

何事も終わらないものはないね
ダニエル・ブレイクは
人間の仮面をかぶったロボットと戦った
武器はなんだったか
人間的なるものすべてだよ
戦いは理性じゃなく
感情で決まる
本質じゃなく
期待で決まる
ダニエル・ブレイクは
知識人じゃなく大工だからね
でも ダニエルは
人間なら
どうすべきかを知っていた
そしてどうしたか 隣人を助けたのさ
安倍さん
あなたは隣人をもったことがあるかね

中途半端な頭の良さを誇って友達を愚弄する者より

 

 

 

本物の血

 

尾内達也

 
 

 

凡庸な聲があるように
非凡な聲がある

TRUE BLOOD

その聲は非凡か凡庸か
朽ちてゆく ことごとく朽ちてゆく
ガダルカナルの草原に固まった
水陸両用上陸艇
―鉄の塊の
その車体のペンキの落書きを
最初に発音した男
―その最初の聲

TRUE BLOOD

真っ赤な向日葵が咲いている
真っ赤な夕陽の中で

いつから静止を静止と
いつから動きを動きと
影が踊る
時と踊る
色が歌う
夜と歌う
形が笑う
鳥と笑う
有と無が侵しあい
生と死が侵しあう
その光の中へやって来たのである

TRUE BLOOD

その最初の聲と
最後の聲がいま
入れ替わったとしても
だれがそれに気づくだろうか

 

 

 

そもそも=基本的に

 

尾内達也

 
 

 

そもそも(基本的に あんた あほやねん
そもそも(基本的に あんたが「押し付け」やねん
そもそも(基本的に あんた 金ばっかやん
そもそも(基本的に あんた 差別ばっかやん
そもそも(基本的に あんたは下僕やねん
そもそも(基本的に 天皇 忖度せぇへんの
そもそも(基本的に なんで いま眞子ちゃん海の王子なん(婚約まだやろ
そもそも(基本的に あんたは嘘ばっか
そもそも(基本的に スパイの岸が なんぼのもん いうんや
そもそも(基本的に サリンミサイル ゴルフするかね
そもそも(基本的に 寿司おごるかね
そもそも(基本的に オリンピックするかね
そもそも(基本的に 原発再稼働するかね
そもそも(基本的に インドに原発売るかね
そもそも(基本的に アベノミクスって なんやねん
そもそも(基本的に 内需は どないしてん
そもそも(基本的に なんで 昭恵 国会出てきぃへんの
そもそも(基本的に ご意向ってなんやねん
そもそも(基本的に なんで あんた やめんの
そもそも(基本的に 美しい 日本人て なによ

 

 

 

神の聲 魔の聲

 

尾内達也

 
 

 

わたしはかつて神の聲を聞く者だった
神々が入り乱れて
叫びながら闇を乱舞している
聲が聲を貫き 聲が聲を惑わし
闇の渦を作っている
冥冥として悲しく
不不として痛い

すると一転
卑猥なことを
神々が叫び始めた
たがいの性器を
猛りあい湿りあい
淫淫として歪み
冷冷として一つ二つ三つ

あの聲はかつて地上に現れた者どもの聲
綿々と老いた ののしりの 断末魔
否否としてひかり
暗暗として怒る

神の聲に耳を傾けてはならない
鳴鳴として剣のような
魔の聲を断て
心中は もはや
聲であふれ

いま
目を瞑ると

のんのん
のんのん
白い手
のんのん
のんのん
白い手

 

 

 

ドン・キホーテの聖なる迷宮

 

尾内達也

 
 

 

廃墟というものが光なのだとすると
そのドン・キホーテは
たしかに廃墟である
二階は封鎖され
三階と四階は
光の駐車場になっている
一階は迷宮のようにどこまでも
奥がある
角には
毒々しい赤と黄色の
ゲームセンターがにぎやかに点滅し
インドカレー屋がスパイスの香を放つ
外人さんが喜ぶという
古着屋がヒョウ柄のパンツを並べると
もう
槇の生け垣の
U字型の道をゆく
一人のドン・キホーテだ
真夏の光
どこまで行っても
だどりつけない
U字型の道を前後しながら
ひとに寺を尋ねる
迷宮の中で
説明の言葉はまったく意味をなさない
口々に口ごもる 散文
泳ぐまなざし
その迷宮は城であり
サンチョパンサを失った
一人のドン・キホーテが
永久にさまよっている
廃墟というものが光なのだとすると
そのドン・キホーテは
たしかに廃墟である

 

 

 

忖度野郎

 

尾内達也

 
 

 

どんたく 忖度 忖度野郎
太鼓をたたけ さくらの空へ
散って忖度 花吹雪
咲いて忖度
正月野郎
さくらの花の死者たちへ
忖度 忖度
お彼岸野郎
花の風鈴は
冥界に鳴っている
真夜中の花
死者の花
冥界を忖度せよ
どんたく 忖度 忖度野郎

 

 

 

幻の花

 

尾内達也

 
 

 

天の川風樹の嘆きわれひとに    下村槐太

 

からからからだに夕日が入る
からからからだは夕日のひかり
からからからだは火に燃えて

西へ西へといそぎあし
夕日を追うていそぎあし

夕日のひかり
火のひかり 聖なるひかり 書のひかり

有一の書に火が九つ
阿鼻叫喚の文字の中に花あらわれ
ふいに火と化す花あらわれ

ああ 横川国民學校
ああ 三月十日

西へ西へといそぎあし
夕日を追うていそぎあし
大陸の大きな夕日
その中の
からだからだに 首がない
からだからだに 首がない

からからからだに夕日が入る
からからからだは夕日のひかり
からからからだは火に燃えて
からからからだは業火のひかり

百花春 百花春
百花春至(ひゃっかはるにいたって)

 

 

 

云々

 

尾内達也

 
 

 

云々 云々 うぬう でんでん
うん うん ぬん ぬん
うーん
出た!
ぬん ぬん 出た!
でんでんでん
うんち
出た!
血も
ちょっと
あまたある
うんぬん の    うん    ぬん
うんぬん
うん
ぬん
ふん
よし!