join つなぐ 加わる

机の上に
いくつかの置物がある

若いときに
地方を旅したときに集めた

長崎の陶製のキリスト像
伊豆の温泉場の射的場にあった湯上がりの裸婦像
小仏
アフリカの石彫の魚

わたしには大切な仲間だが
他人にとってはガラクタだろう

わたしもガラクタになるだろう

 

 

sing 歌う

くもを
みていたな

青空に浮かぶ
白い雲を見ていたな

花を見ていたな

野原のシロツメクサのまるい
花を見ていたな

子どもらよ

君は解らずに空を見ていたな
君は解らずに花を見ていたな

歌えなかった
歌えなかったな

無い歌をうたえ
無い歌をうたえよ

 

 

least 最少

今朝
スープを作りました

肉の代わりに
大豆を入れました

ジャガイモと玉ねぎと生姜も
入れました

鰹だしと黒胡椒と塩を少しだけ
入れました

玉ねぎと生姜から味が滲みだして
柔らかいジャガイモや大豆に浸透していきます

ひとつまみの塩が味をうみます

 

 

shadow 影

ひかりの影だろう

かげはひかりの
影だったろう

ヒトや
子猫や
ガラス瓶や

影がいつまでもそこに留まることもあったろう

つよいひかりを浴びれば影は残る
影だけが残る

影のなかに名前のないものたちのいのちはあったろう

影のなかにいのちはあっただろう

 

 

toy おもちゃ

おもちゃ
失くした

こどもは
おもちゃを失くしてしまった

そして片隅で
全てがおもちゃになった

世界がデコボコにみえるとそのヒトはいった

名と形に付託する
そこにおもちゃがあった

デコボコの世界こそおもちゃだったろう
そのヒトのおもちゃだったろう

デコボコのおもちゃにさわる
デコボコのおもちゃをにぎる

デコボコのおもちゃで遊んでいた

 

 

soup スープ


スープをつくります

今朝も
スープをつくりました

最近は鶏ガラはやめて
鰹だしのスープにしてます

野菜は皮付きのままに煮ます

芹も根ごと煮ます
大豆もいれます

ベーコンやウインナもいれます

ことこと
ことこと

煮ます

ことことのあいだに
わたし詩をひとつ書きます

 

 

plate 皿

皿をならべました

テーブルに
皿をならべました

テーブルに
皿をならべていました

浮かんでました

空には
白い雲が浮かんでいました

ポカンと
浮かんでいました

あなたのようでした

さよなら
さよなら

テーブルに皿をならべました
テーブルに皿をならべていました

 

 

 

block かたまり 街区

雨に濡れたコンクリートブロックの
写真を部屋にかけてある

広瀬勉さんの写真だ

いつだったか
酔っぱらって高円寺から持ち帰った

雨が降っていた

ブロックはかたまりなんだな
ブロックは街区なんだな

以前もいまもブロックの写真を撮ってる
以前もいまもブロックの写真を撮ってる

ブロックに意味などないだろう
ブロックは記憶だろう

記憶をこの街で見つけた
もう一度この街でみつけた

ブロックは記憶だろう

雨に濡れたコンクリートブロックの写真を
部屋にかけてある

 

 

traffic 交通 交通量

愛の終着駅を聴きました

八代亜紀さんの
愛の終着駅を聴きました

それから
愛ひとすじも聴きました

恋の畦道歩いてきたわ

風もみました
雪もみました
こころの地獄をさまよいながら

愛することしかできないわ

八代亜紀さんは腕を差し出して
歌いました

愛することしかできないわ
そう歌いました

わたしも同感です

愛することしかできません
愛することしかできません

トラフィックの問題ではないのです
トラフィック量の計測の問題ではないのです

愛の問題なのです

今朝
窓辺に小鳥をみたのです

今朝
窓辺で小さな鳥をみたんです

 

 

piece ひとつの ひとかけらの

今朝
facebookでいくつかの写真をみました

会ったことのないヒトたちの
写真がありました

そこには

土がありました
雪がありました
水がありました
草がありました
ヒトがいました
雲がありました
青い空がありました

たぶんなにも伝わらないと思います
わたし

伝わらないことばを書いて
ひとかけらの場所に佇ちたいのです

土がありました
雪がありました

水がありました
草がありました

ヒトがいました
雲がありました

青い空がありました