「はなとゆめ」03  背中に咲く花

 

今朝

モコが吠えていた

ウォン

ウォン
ウォーーン

モコの吠える声が聞こえていた

ぼくは
目覚めていた

ハイビスカスの花は揺れていた
淡いオレンジのハイビスカスの花が揺れていた

きみはいない

きみは
今朝

モコが吠えていた

ぼくは目覚めていた
庭の片隅にハイビスカスの花が揺れていた

モコは吠えていた
モコは吠えていた

風が吹いていた
風は

背中にハイビスカスの花は揺れていた
背中にハイビスカスの花が揺れていた

きみは
いない

つまりこの世は神が創ったのではなく

モコは
吠えていた

ぼくは目覚めていた

ハイビスカスの花は揺れていた

きみはハイビスカスの花が揺れていた
きみは淡いオレンジのハイビスカスの花が揺れていた

 

 

※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。