厚くてガッチリ

 

辻 和人

 

 

すぅーっ
はぁーーっ
すーっ
はぁーーっ
深呼吸、深呼吸
はぁーーっ
さすがに緊張してます
滅多に着ないスーツとネクタイが
ぎゅぎゅっと体を締めつけてきます
(職場は自由服だもので)
今日はミヤコさんのご両親にお会いする日
下北沢のドーナツショップでミヤコさんと待ち合わせてるんだけど
アイスコーヒー、味が全くしない
すぅーっ
はぁーーっ
すーっ
はぁーーっ
あ、ミヤコさん、来た

先週、ぼくの両親にミヤコさんを紹介したんだ
それがさ
いきなり和気藹藹なのよ
いきなりバンザイなのよ
食事の前に母が経営している(といっても一人でだけど)陶器の店に連れてったんだけど
「これ、きれいですね。」
「あら、そうでしょう。有田の若い作家さんが焼いたものでね。」てな調子
ホテルの和食レストランに移動した後は
「インドに出張されたんですか?……あははっ、そりゃ愉快ですねえっ。」てな調子
何しろ女性を両親に紹介したことなんか初めてだからなあ
それだけで両親は舞い上がってる
もちろん、ミヤコさんのきちんとした受け答えがあってのことだけどさ

しかし、逆もこういくとはかぎらない
お父様は「頑固者」だそうだし
……はぁ、腹を括るってこういうことか
えーいっ、何のこれしき
ノラ猫だったファミを実家まで運んだ苦労を思えば
「辻さん、お待たせしました。今日はよろしくお願いします。」
「こちらこそ。緊張してますが、頑張りますのでよろしくお願いします。」
いざいざ
相模大野へ、出発

祐天寺のアパートで面倒をみていたノラ猫ファミを
伊勢原の実家で飼ってもらうことにしたのがかれこれ6年前
猫狩りに遭うんじゃないかと心配してね
アパートじゃ飼えないので両親に頼みこんだというわけ
今では家の主みたいな顔してるけど
連れてくる時は大変だったんだよ
運ばれる最中
ファミは猫キャリーの内側を狂ったように引っ掻いて暴れた
引っ掻く、鳴く
引っ掻く、鳴く
ああ、思い出してきちゃったな
その同じ小田急線の電車に
ぼくは手足を硬くさせたまま揺られてマス
深呼吸が途中でふぅっとため息に変わってしまいマス
こりゃ、元気がある分ファミの方が上だ
ちょっと怖いけど大丈夫、なんて言ってたのにさ
ただの顔合わせ、挨拶しにいくだけなんだって
幾ら自分に言い聞かせてもダメなんだよね

相模大野駅で降りてバスに乗り換えて10分
ラーメン屋さんを過ぎて細い路地に入って
すぅーっ
はぁーーっ
すーっ
はぁーーっ
「ここが私の家です。じゃあ、頑張りましょう。」
はい
植木がいっぱい並んだそのお家のブザーを
意を決して
えいっ
押した
すぅーっ
押しちゃったぞ
はぁーーっ

「お待ちしていました。さ、どうぞおあがり下さい。」

出迎えてくれたのは
頭髪はちょっと薄くなっているけれど
精悍な感じのお父様、それに優しそうなお母様

「今お茶お持ちしますからね。楽になさって下さい。」
「はい、ありがとうございます。」
楽になんかできるわきゃないけど
―どこにお勤めですか?
―お休みの日は何をなさっているんですか?
そんな質問に一つずつ答えていくうち少しずつ落ち着いてきた
サルサのバンドを学生の時からもう30年やっている話をすると
「はははっ、それは結構ですねえ。」
おいおい
フレンドリーな雰囲気じゃないか
お母様は短歌を詠まれているそう
同好の方々と共同で刊行した歌集を見せていただいた
良い歌が幾つもあった
詩集を出したことのあるぼくとしては
「今度単著で歌集を出されてはいかがでしょう?」と
先輩風(?)を吹かせてみた
「いやあ、私なんかがとてもとても。」
謙遜されていたけれどまんざらでもないような……

答えるばかりじゃ会話は成り立たない
余裕も出てきたし、攻勢に転ずるか
「お父様はフィリピンで印刷の仕事をされていたとお聞きしましたが?」
すると
待ってました!

「私はね、若い頃は○○印刷に勤めていたのですが、
その後、縁があってフィリピンの印刷会社に入り
経営に携わることになりました。
ミヤコがまだ小学生の頃でしたかねえ。」
そこからの話はマジで面白い
フィリピンの人たちに印刷についての知識を授けて
信頼を勝ち取っていったというのだ
「日本人が評価されるのはですねえ。
現地の人にノウハウを教えて自分たちの手でできるようにさせるところですよ。
他の国の人はそんなことしない。ただこき使うだけ。
日本人は現地の人と一緒にやろうと考える。
だから信頼されてどんどん次の仕事がくる。」
「フィリピンではたくさん友人ができましたよ。
印刷会社の社長の弟さんでカルロスさんという方がいらっしゃるんですけど
今でも大親友ですよ。
フィリピンに来い来いっていつも言われてまして
前に遊びに行った時は一家で大歓迎でした。」
―日本はフィリピンに侵攻したことがあったじゃないですか?
「そう。すごい迷惑をかけた。
でも、日本を恨んでいるフィリピン人はあんまりいない。
××さんという方なんて
日本軍の捕虜にされたんだけど収容所がそれはそれはひどいところ。
海の近くにあるんだけど
潮が満ちてくると収容所に海水が流れ込んでくるっていうんだ。
それでも自分からはそんな話一言もしない。
後で知った時はびっくりしたねえ。
戦後の日本は戦前とは違うってわかっているんだ。」

熱のこもった話がいつもまでも続く
テレビのドキュメンタリー番組を見ているよりもずっと面白い
日本の繁栄を支えてきた人の中にこういう人がいたんだなあ
まあ、こういう草分け的な仕事をする人は
多少頑固なところがないと務まらないよな(笑)
話題の先を仕事から趣味に変えてみた
「お父様は陶芸がご趣味とうかがっているのですが
この棚にあるお皿やカップはお父様の作品ですか?」
こちらの反応もすごい。

「ええ、ええ、だいたい私が作りました。
引退してから陶芸を始めましたけれど、今では出品して販売もしています。
最近あちこちで陶器市が開催されるようになってきてましてね。
月に何度も展示販売することがあるんです。
仲間と一緒に店を出してね、これが楽しくて仕方ない。」
横からお母様が嬉しそうに口をはさむ
「これだけやってて赤字じゃないんですって。」
「そうなんです。多くはないんですけどね。利益が出てるんですよ。
そのためにはちゃんと使えるものを作らなくちゃいけない。
例えばこの急須は取っ手のところが難しい。
ぽきんと折れちゃったらどうしようもないですから。」

棚に収めてある作品は
母の店の有田焼と違い
分厚く、ガッチリ作られている
でも
マグカップはお茶が飲みやすく
皿は料理が並べやすく
使う人のことを一生懸命考えて作った末にできた形だ
しかも遊び心も忘れていない
「これ何だと思います?
瓢箪みたいな形でしょう。
これ、徳利を真っ二つに切ったものなんですよ。
面白い形のおかず入れができるなと思いついて
切ってみたら意外と使いやすくて評判もいい。
飽きがこないようにするには工夫が必要なんですよ。」

それら線の太い造形物は
にょきっと足が生えていて
踏ん張っているように見える
滑らかではない厚手の体は
紛れもなく生きている者の生きている手で
ヨイショヨイショとこねられたもの
土だけど
生身だ
スキを見て
乗せてある料理を
パクッと
食べちゃう
ん? 一つ残しておいた肉だんご、どこ行っちゃたんだ?
なんてことが起こってしまうかも

後半はすっかり聞き役に回ってしまった初顔合わせ
「またぜひおいでください。」の声に送られて
お家を後にする
「お疲れ様でした。」ミヤコさんが笑う
「ふーっ、疲れたけど、何か楽しかったですよ。」
涼しい風が吹いている
夕暮れが近いな
振り返ると
家の前に並べられた山野草の鉢が
来た時よりずっと鮮やかに見えた

 

 

 

Before going to work, I read TAKAGI Jinzaburo’s essay in a cafe. So fine here.(1)

※2014年10月末から2015年3月までの渡辺洋さんのツイート、FBポストの一部です。

 

渡辺 洋

 

2014年

10月28日
Before going to work, I read TAKAGI Jinzaburo’s essay in a cafe. So fine here.

11月2日
いやはや、今、ちょっと肺と十二指腸を診てもらっていて、いま、ちょうど中日です。それはそうと、こんな日なのに、私の詩集『最後の恋 まなざしとして』(書肆山田)が出ました。できれば買ってください。
hontoでは http://honto.jp/netstore/pd-book_26433803.html
紀伊国屋では http://www.kinokuniya.co.jp/disp/CSfDispListPage_001.jsp…
何か、本屋に行って注文した方が早そうな。/Users/michiosato/Downloads/渡辺洋ツイート1411-1503/渡辺洋ツイート1411-1503.txt
ヘイト・クライムや同調圧力に対する差別などに対抗したものです。
ね、Yoくん、Dくん、Fくん、Sくん、Yaくんほか。

11月12日
個別に答えてるのも何なので、ここでぶっちゃけ話してしまうと(と言ってもそれを話すのも今やっとなのだが)、まあ、肺と肺を原種とする十二指腸潰瘍になってしまったわけです。うん、そういうこと。

11月24日
さっき久しぶりに書いていたら、記述を間違え、薦田さんにご迷惑かけました。えっと「プロフィル欄」の記述を新しい記述に変えたいのですが(癌ではなくて、新刊の記述に)どうしたらいいでしょうか。それがうまく行けば新しい記述の流れにできると思います。

久しぶりに再開。また英語で1行目はと思ったのだけれど、考えてみたら英語での波及度が低い内容なので英語にします。2か月くらい前に体に小さな異変を感じて、いくら何でもそんなはずはと頑張り、結局異変は癌でした。今やっと、グレード4の治療計画が決まり、脳の治療をやって帰って来たところ。

11月25日
おはよう。今日はたぶん会社に行って、社長と現場にあいさつ。これでしばらく通退院を繰り返すのかな。ま、その間に、次のペースをつかみたい、生きていればね。

いやはや、再開のコメントで「英語で」「日本語で」というのを、さっそく「英語で」「英語で」とやっている。ま、最初はこんなものかな?

再入院待ち。

11月26日
再入院待ち。と言っても事態は深刻さを待つものかもしれず。いずれにしてもベッド空き待ちというのはいい気分じゃないです。脳の治療はきつかったにもかかわらず本人は麻酔でクリアしちゃったけど、次に待ち受けるのはまた怖い検査なのかな、とか。

一昨日書いた「グレード4」は「ステージ4」の誤り。

11月27日
7月に発案した、清水哲男さんの評論集、まだ文章集めは9割弱だけれど、書肆山田のお二人がオリジナルの対談を送ってくれたのを読む。友達たちにメール。

いやあ、ぼうっとしていて、たとえば25年近く一緒に働いてきたYさんやアイドルの水原希子ちゃんの名前が出て来なかったり、一昨日も社長あいさつと現場の引き継ぎはしたけど、現場全体へのあいさつはしたかなとか(したとのこと)。まあ、これは脳腫瘍の治療のおかげで楽になったみたい。

ぼくの場合、①肺癌→②十二指腸癌→③脳腫瘍、というセットとのことで、脳腫瘍の治療だけは何とかできたとのことで、肝心の癌治療の方は入院さえできていない。この間、声枯れとか、「生まれて」初めての浣腸とかいろいろありますが、それはゆっくり。

いやあ、入院待ちっていらいら。急患じゃないと入れてもらえないの? 少なくとも今週はもう入れないことに。

少なくとも今週はもう入院できないことに。って、うちの彼女がもっと速くと強硬に病院にごり押ししてくれているから、ぼくは大人しくしているだけなんだけど。

週末、あまりに暇でおかしくなりそうなので、友達のアポを一つゲット。友達、少ねえ~(笑)。

石井輝雄監督の「網走番外地 南国の対立」を録画で観る。大河内傳次郎、吉田輝雄(ど下手)、大原麗子とか60年代の懐かしい役者がどっちゃり。お前がハジキを2度構える前に俺のドスがもう一度お前を刺すぜとか、主題歌の「その名も網走番外地」とか。

復帰前の琉球撮影のせいもあったのか、ただカットが短いだけか、やたらショットが長い。全体にほとんどカットされていない? たぶん、生まれて初めての健さんの映画。

11月28日
あまり眠れないまま起床。眠れないと、ちょっと近所へというだけでも大息切れ。

「「生まれて」初めての浣腸」というのも間違い。2006年の夏に鼠径ヘルニアを患って、手術日の前夜(プロの浣腸)にされたのがはじめて。今回、腸の蠕動がなぜ起きなくなったかについては、酒を飲まなくなったせい? 薬をいろいろ投与されたせい??

午後、担当医師からじきじきに、月曜に検査の上、入院と。

朝、書肆山田のお二人が送ってくれた、清水哲男さんと八木忠栄さんのオリジナルの対談を読み返して、これからのまとめ案なども添えてメール。

薦田愛さんから熱田神宮のお守りが来る。

今日はまあまあ眠れた、7時間ちょっと。

11月29日
イタロ・カルヴィーノさんの『冬の夜ひとりの旅人が』(脇功訳・松籟社刊。1981年刊、ぼくの持っているのは84年刊の3刷)を後少しというところで読みさしにして考える。じつはこの本、30年前に50ページくらいしか読み続けられなくて、(続く)

今回たまたま須賀敦子さん訳による『なぜ古典を読むのか』(河出文庫)を読んで思い出して、娘-24歳-に預けてあった(押し付けてあった)3冊の本の内、何か持ってきてと頼んだら、さすが娘で、宇宙ものや歴史もののパロディではなく、この「書くこと」「書かれること」をめぐる、(続く)

読者たちやいくつもの物語の書き出しに関する、最高の「アヴァンギャルド」作品を持って来てくれた。その頃、前の会社を止める頃だったけれど、何を考えていたのかなあ。もっと左翼的な方向へ?

そして、またその頃、鈴木志郎康さんの影響もあって、現代詩もう一度できるかもしれないという思いがあり少しずつ始めたんだけれど、その時に見落としていた岩田宏さんの詩・散文・翻訳をめぐる「反抗的な」姿勢を今、見直している。これはきついですよ。どう読み込めばいいのか、まだ分からない。

カメラマン・映画監督の大津幸四郎さん、亡くなりましたね。私なぞが言える分際じゃないけど、合掌。

大学の教養時代の同級生、Yくんが遊びに来てくれる。毎日新聞(現在はホールディングス勤務)で、元々異動も多かったのが、最近、東京に戻って来ているらしいとのことで調べ直してクラス会用に連絡をつけて、で、結局ぼく(何と幹事のくせに当日は入院で出られず)も彼もクラス会では会えなかった

30年ちょっとぶりに旧交を温める。何か、出版や新聞の終わりの世代的な(笑)。会話に疲れてきた頃、彼女も帰って来てちょっと楽する。

11月30日
夜中にむずむずして一人浣腸。液は全部入らなかったけれど、そこそこ出る。寝直す。

ところが、あなたたちふたりは、もうなにも聴いてやしない。あなたたちも姿を消し、隅っこの方にへばりついて、たがいに抱き合っている。それがあなたたちの答えなのか? あなたたちは生きている者たちもまた言葉のない言語を持っているのだということを示そうとしているのか? (続く)

ただその言語では本は書けず、一瞬一瞬を生きることができるのみで、記録することも思い出すこともできはしないのだが。(イタロ・カルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』脇功訳・松籟社刊)

この村で育ったからには、ヴィルジーリアに、パドリーノに、いまは亡きすべての人びとに、礼を言わねばなるまい。たとえ、ぼくを引き取って育ててくれた理由が、アレッサンドリア市の孤児院から送られてくる月々の扶養金めあてであったにしても。(チェーザレ・パヴェーゼ『月と篝火』河島英昭訳・岩波

この15歳上の同じイタリア人作家に対して、カルヴィーノさんは「彼が用いるイマージュとアナロジーは強迫観念じみた人身供犠への不安に引き寄せられている」(須賀敦子訳)と書いている。こうしたアヴァンギャルド作家と自死を目の前に書き続けた作家の差。

そして、岩田宏さんの、まだうまく言えないけれど、感性の全体主義(世界はそんなに単純なのか、とか)とでもいったものへの反抗、行分け詩の放棄(?)といったこと。

木、金曜くらいから足萎えかで息切れなのかと思っていたけど、これは呼吸困難? とりあえず病院に入りたい。

木、金曜くらいから足萎えかで息切れかと思っていたけど、呼吸困難まで来てしまったかも。とりあえず病院に入りたい(酸素ボンベ?)。午後、浣腸の続き、細目にやった方が楽みたい。明日からは病院に相談、薬とか変わるとまた違うかもしれないし。

アプリは作ったことがあるけれど、スマホはあまり好きになれずに自分では持っていないまま、今回も娘を頼って買うタイミングが合わなかったし。買ったiPodはバッテリーが干上がってしまって使えず。よって入院後はノート筆記とラジオ。いつかまた会いましょう

夕方、母親(87歳)に電話。今は、父親(89歳)と隣室で小田急線沿線のホームに住んでいる。今までは、うちの彼女を通して、さらに兄夫婦を介して連絡してもらっていたので、直接連絡するのは初めて。比較的、冷静に話せたかもしれない。

 

 

 

Before going to work, I read TAKAGI Jinzaburo’s essay in a cafe. So fine here.(2)

※2014年10月末から2015年3月までの渡辺洋さんのツイート、FBポストの一部です。

 

渡辺 洋

 

 

12月13日
妻娘にiPadを買ってもらって、 病室から発信テスト中.。

入院前に、転移してできた脳腫瘍を別の病院で焼ききり(4本で4時間)、12 月1日に 入院したとき、直前のPET検査では、癌は肺と十二指腸(2か所)で、まず歩けなくなるほどの貧血に輸血しながら、とにかく困難な十二指腸を先に切除し内出血を止めようと打ち合わせしていた。

胃と十二指腸の内視鏡を撮ったところ、出血がすごく、その日(金曜日)から食事止め。明けて8日の月曜から腸が痛み出す。もともと肺が出発点で呼吸器で入院したのだが、打ち合わせをしていた消化器の医師たちが飛んできて、レントゲン、夜には水分も止められて、鼻から胃の中身を吸い出すチューブ。

火曜日、これは今まで見つかっていなかった小腸ガンだということになり、夕方から手術5時間。泰子とは少し話すが、後は昏睡。翌日聞いたら、大腸ガンと後から見つかった出血の中心だと思われる十二指腸のガンひとつを切除したとのこと。今日はここまで。おやすみ。

12月14日
便、開通。1, 2時間ごとに、しばしゆるゆるでトイレに走ることになりそう。尿の管をおととい抜いて、昨日もおとといも「間に合わなかった」ことが(笑)。

ボランティア学生に救われたホームレスのおっさんにしか見えない父娘。 (写真)

ゆうべ一箇所「小腸」を「大腸」と書き間違い。

来てくれた妻とFaceTimeで無料テレビ電話。病室で^_^

五時頃、鈴木一民さんが来てくれる。関西営業から帰ったばかりとか。あらためてこちらの経過を説明し、後は岩田さんの話や、周囲のガンにかかった人の話など。

ヴァイタル(体温、血圧、酸素)、レントゲン(こんなにたくさんとっていいの?)、問診、排泄の繰り返し。12月も半分。あ、採血も1日おきくらい。

12月15日
ex-S堂のすでに退職された大先輩2人が来てくれる。あれこれ話して一時間半。おみやげが折口全集2冊(元本)。これは病室で読むには、モノとして重すぎるんじゃない?

入院してから読んだ本。N.ギンズブルグ『マンゾーニ家の人々(上)』、伊藤計劃『虐殺器官』、富岡多恵子(再話)『近松名作集』、カルヴィーノ『まっぷたつの子爵』。今読んでいるのは『新選 岩田宏詩集』巻末の散文と解説、パヴェーゼ『月と篝火』。

12月16日
治療のフェイズが変わって身体がついていけない、1, 2日毎に悪夢。ふーっ。トイレがやたら近くてそのたびに点滴の電源を抜くのがちょっとうんざり。

12月17日
窓際のベッドに移してもらえた。 (写真)

午後、ex-青土社/河出(現在は病室から場所の見えるM)のSくんと、ex-新宿書房のMくんが来てくれる。これからどんな経済で生きていくかとか、Mくんのわがままな感じが面白い。

週1, 2回来てくれる若者。「話すこと、あんまりないね」 (写真)

富士、iPadでなんとかかすかに。
右の方。 (写真)

12月19日
パヴェーゼさんの『月と篝火』読了。捨て子である主人公が孤児養育の補助金目当てに貧しい農家の下働きとして買われ、苦労を重ねたのちにアメリカに脱出し、財をなしてイタリアに戻ってくるが、葡萄などの農村の貧しさは変わらず、ファッショとパルチザンとして戦った人々もお金と宗教に回帰している。

主人公の神話のような遍歴、ファッショとパルチザンとの二重スパイとして殺される、元の雇い主の娘。イタリアの映画美しく切り取られそうな風景を背景にえがかれる物語はどこか淡く苦い。そしてこの小説を書いて作者は自殺した。

12月22日
あれこれの意表を付く速い展開に気持ちを整理できない状況。今週末くらいには書けるかな?

12月25日
小腸ガンの手術後の養生も終息に向かい、本当ならぼちぼち退院になりそうなところ、先週なかばから左脚が動かず、立てず、歩けず、踏ん張れず、で調べたところ、脳への転移がまた進んでいるとのことで、今日から放射線の全脳照射。2週間くらい、年越しで。いやはや、やれやれです。転移と治療のいたちごっこにならないといいけど。

みなさん、ありがとうございます。ガン患者としてできるのは落ち込まないでいることだけかもしれません。

医学とくに外科が進んでいるとはよく聞きますね。でも、ぼくの十二指腸のガンの予定される術式を、先日、ドクターXが「悪いとこだけ切りゃいいじゃん」と、あっさり5分くらいで処置して否定してしまったのには唖然としました^_^

左手も若干不自由になって来ました。進行と治療の追っ掛けっこです。二日がかりで入力しやすい体勢を摸索^_^

Sくん、来れば会えるよ。正月でも。

病院の方で、今年と去年の健康診断の記録や写真を 取り寄せたところ、これで見逃すのは仕方ないとのこと。恐ろしい肺ガンのスピード。

全脳照射でびゅー。初回の準備は長く照射はあっという間。

ナイフは見送りです。

これから成長しそうな小さな腫瘍が多そうなのでナイフでは無理という判断

 

 

 

ファミレス

 

みわ はるか

 
 

「ファミレス」に来た。
一人で。
いつも来てから後悔するのに。
もう一人で来るのはやめようって思うのに。
忘れたころにまた足を運んでしまう。

略さずに書くと「ファミリーレストラン」。
日本語にすると、「家族で食事する場所」と言ったところだろうか。
食器と食器が触れ合う音とともに楽しそうに会話する家族の声が聞こえてくる。
家族が同じテーブルを囲み、各々好きなものを注文し、それを口に運ぶ。
そんなほほえましい姿を第三者である他人が怪しまれることなく垣間見ることができる。

気の強い母だった。
不器用な父だった。
小学生のとき参観日に両親の姿を見ることはなかった。
入学式と卒業式、ピースサインで二人の間に自分が収まっている写真は貴重だ。
学校から帰って一番に鍵穴に鍵をさすのは自分の仕事だった。
飼っていた牛みたいな模様の犬だけがしっぽを盛んにふって毎日出迎えてくれた。
家の中に入ってまずはじめにテレビをつけた。
電気ではなくて、テレビ。
自分に話しかけてくれているわけではないけれど音がするということに安心した。

耳をそばだてていた。
母の運転する車が家の敷地に入ってくる音を聞き逃さないように。
一目散に走った。
今日あったことを報告するために。
音読のテストですらすら最後まで読めたこと、給食に大嫌いなサバがでたけれどできる限り食べたこと、友達が新しい自転車を買ってもらってそれがものすごく羨ましいこと、来週の家庭科の調理実習には人参を家から持っていかなければならないこと。
話すことなんてたくさんあった。
どうでもいいことから本当に大事なことまで。
それでも全部伝えたかった。
自分のことは全部知っていてほしかった。
仕事から帰ってきた母はとても忙しそうだった。
留守電の確認、夕飯の準備、明日の天気予報の確認・・・。
人を寄せ付けない雰囲気がそこにはあった。
今、成人し仕事をするようになった自分にはそのときの母の気持ちや行動が理解できる。
仕事を遅くまでやり、帰ってからは家族のためにご飯やお風呂の準備、愚痴をはくこともなく毎日こなしてくれたことに感謝しかない。
しかし、当時それを理解するのには幼すぎた。
寂しかった・・・寂しかったのだと思う。

何かを確認するために、何かを取り戻すために自分はファミレスに行くのだと思う。
5、6人掛けの椅子にひ1人で長く居座るのは少し目立つけれど。
きっとまたファミレスに自分は行くのだと思う。

 

 

 

Before going to work, I read TAKAGI Jinzaburo’s essay in a cafe. So fine here.(3)

※2014年10月末から2015年3月までの渡辺洋さんのツイート、FBポストの一部です。

 

渡辺 洋

 

 

12月26日
井上雄彦さんの『リアル 14』読む。障害者バスケのコミックが今までより身近? 1センチちょっとの幅のテーブルに簡単に付けられる書見台がほしい^_^

ま、障害者バスケの人びととは腕の太さも違いますし、左手がアウトだと話になりません。

本の差し入れ多し。「重い」本は自宅行き(あとで読む)。それでもやや満腹状態。一月半ばまでこの続き。

手帳、十数年間、サラリーマン向けのシリーズを続けて買ってきたけれど、うつ病、ガンなど、さしていいことはなかった。娘が何か買ってやるというので、クリストファー・ロビンの楽しげなものを頼む。来年、帰宅した時に使い始めとしたい。

年賀状も印刷済みだけど、出すのも、来年、一時退院出来てからに。

初めての長期入院が年越えです

薦田さん、そんなにかっこよくないですよ。帰っても車椅子はないは、階段はあるはで、家族が大変すぎるということじゃない? 年末なのに混んでます、病室。

12月27日
五時、看護婦さん二人に助けられてトイレに行くも「大」出ず。泣き笑いの1日の始まり。

尿瓶のときは、娘のような年頃のお嬢さんにつままれちゃいます。^_^

軽い本がいいなと家族友人に頼むうち、「居眠り磐音」と「ビブリア古書堂」の新刊、『すべてがfになる』『半七捕物帳 1』、とそれなりに増えてしまう^_^

現代詩手帖の水島さんによる紹介を読ませていただく。ありがたい。問題は語り手の社会性、あるいは語り手の中で社会性がどのように位置付けられているか、見えない作品が多すぎるということ? 引きこもりのエミリ・ディキンソンの作品にも社会との葛藤があった。その辺が次のステップの鍵。

一月半ば退院できたとしたら欲しいもの: 自分が要求されているのかと心当たりのある方も、強制力はありませんのでご安心ください。
加藤和彦ヨーロッパ三部作(CD+本)
デヴィッド・ボウイ「シングルス コレクション」
ルー・リード 5枚組セット(「ベルリン」ほか)
スティング「ザ・ラスト・シップ」
パティ・スミスの「ホーシズ」のTシャツ
『トマ・ピケティの新・資本論』

秘密兵器(書見台)と守護神カエル(帰る)くん(写真)

入院後初めて詩を書いてまとめていたら(16行)、看護師さんに見つかり、お客さんにあげるために置いておいた詩集まですこし読まれてしまった^_^

カルヴィーノさんの最初の長編小説『くもの巣の小道』読了。自身のそれ以降のファンタジー系の作品とはまったく異なる、パルチザン体験をベースにしたリアリズム小説。少年ピンは娼婦の姉の客のドイツ兵からぬすんだ銃をくもの巣に埋める。地面にくもが巣を作るのは世界でここだけだ。

程なくピンはドイツ軍に捕まるが脱走。転がり込んだのはパルチザン中でも最悪のボロ支隊だった。確たる思想もなく自分たちの利益を守るためにファッショに転向してもおかしくない群れ。その無秩序さと荒っぽさは日本で言えば「兵隊やくざ」的な? ピンが目にするのは怠惰、不潔、卑猥、武器マニア。

上の命令に従って敵にやられないために出発する奴ら、うじうじと止まる奴ら。後から言うきれいごとにならないリアリズム。こんな生き生きとしたリアリズム小説を青年カルヴィーノが描ききっていたとは。

その後、カルヴィーノさんは、ネオレアリズモの俗化の風潮や共産党への失望、彼を評価し、導いてくれた先達パヴェーゼさんの自死などをきっかけに、リアリズムを離れ、ファンタジー、アヴァンギャルドへとシフトしていく、その変貌も興味深い。

12月28日
オヤジ向け書き込み: 午後、ベッドで二人の妙齢の看護師に全裸にされ、全身を拭かれ、おチンチンを洗われ、乾燥のきつい背中ほか満遍なく保湿剤を塗ってもらって着替えさせてもらって、気持ちEー^_^^_^

乾燥肌なので、背中がかゆくてたまらなくなっちゃうんです。池波さんはあぶら質?

三上延さんの『ビブリア古書堂の事件手帖 6』読了。テレビ先行で活字で読むのは初めて。この巻は太宰の初版本を巡ってうかびあがる人間の愛憎、主人公の二人の恋がメイン。本好きが突っ込みつつも自分で書きたくなるようなところがいのかな?

12月30日
20分おきにベッド上での位置を直す。カクッカクッとしかうごかない動かない固いベッドでは背中を上げておくと、体がズリ落ちてしまうのだ。片手片足が不自由というのは本当にしんどい。胡座もかけない。

忌野清志郎 IMAGINE http://youtu.be/QnKykvIp4Yg

生き続けよう、できるだけ恥ずかしくない人生を。都合よく引きこもらないで

畏友のMくん(ex-新宿書房)がパティ・スミスのTシャツを持ってきてくれた。うれしいです。

12月31日
大晦日、比較的よく眠れたけど、怖い夢(全然知らない医学用語に振りまわされる)。来年の今頃はどうしてるかなあ。

うとうとしたり、『マンゾーニ家の人々 下』を読んだり。骨格のしっかりした端正な文(訳)が時間を支えてくれる。でも1番大切なのはひとが来てくれること。十二月だけで述べ40人弱の人が来てくれた。ありがたいことです。

スタッフが交代で休んでやや静か。でも、昨日くらいに入院してくる人もいます。

消化器系の処置後なので、ケーキも蕎麦もお節もなし、ひたすら粥  ^_^

 

 

 

Before going to work, I read TAKAGI Jinzaburo’s essay in a cafe. So fine here.(4)

※2014年10月末から2015年3月までの渡辺洋さんのツイート、FBポストの一部です。

 

渡辺 洋

 

 

2015年

1月1日
明けましておめでとうございます。病院の朝食はお節ではなく、消化器術後のおかゆメニューでした。今日も実際にはないトラブルで悩む遠回りの夢を見ました。

夕食、ついにお節が! と思って蓋を開けたら、配膳の人がとんできて、「間違えましたっ」と、おかゆメニューと差し替え。他の患者さんはあんな立派なものを食べているのかっ^_^

『マンゾーニ家の人々 下』、ビートルズ、眠くなる。

『マンゾーニ家の人々』を読み終わったら、いよいよKindleデビューかと思って本を探したけど、驚くほどまだまだって感じ。

1月2日
トラブルをきっかけに臓器売買の連絡先、ルートを知り、調べてもらう。ちょっといい初夢?

栄えあるkindle読書第一弾は岩波文庫の『新選 谷川俊太郎詩集』になりました^_^

ナタリア・ギンズブルグさんの『マンゾーニ家の人々』読了。マンゾーニが誕生し、成長し、19世紀のイタリアを代表する国民的文豪として名をあげていく第一部に対し、再婚した妻の病気がちな心身に引きずられるように、先妻との間にできた女子たちが次々に病む第二部。

男子たちは経済的に破綻して、マンゾーニを苦しめる。オーストリア・ハンガリーの占領とイタリア統一へという激動の時代。第一部と第二部は人生の春と秋のような対比をなす。ひとつひとつが作品のような書簡を読み込み、伝記的事実をそえて再構成した見事な伝記文学。

19世紀の貴族たちの理想主義?的な、嫌味ではない高貴な語りを、須賀敦子さんの清潔な訳が生き生きと再現している。

1月3日
新聞は週末に来る一週間分のテレビ番組表だけ家から持ってきてもらっている。でもそれももういいかな。「おとなしくて」読む価値ないし。テレビも病床から身をひねって見るにはつまらなさすぎ。

買って来てもらったカルヴィーノさんの『宿命の交わる城』。訳のわからないもの(アヴァンギャルド)を読む喜び^_^

今年あなたがたくさんつぶやいた言葉ベスト10で2014年を振り返る
10.在特会
9.政府
8.差別
7.大臣
6.新聞
5.テレビ
4.派遣
3.女性
2.治療
1.入院
http://appli-maker.jp/analytic_apps/9014/results/32205233 …

1月4日
いつまでもベッドにはりつけは嫌だなあとゴネる夢。6時前に起きちゃった。だって寝たのが夜の9時半h^_^

アヴァンギャルド小説、と言うか、『宿命の交わる城』は文芸を遊び=プレイとして、想像力を搾り出すような試み + ビートルズ → 非常に眠い^_^

深い森と宿命の城とタロットの束がここまで私を連れてきてしまった、私自身の物語を見失うほどまでに、ひしめく物語のなかにまぎれこんだ一粒の塵埃と化すまでに、そしてほかならぬ私を物語の枷から解き放つまでに。(『宿命の交わる城』)

左手が少し動くようになっているという都合のいい夢(確かに少し軽くなっている感も)。じゃあそれをプレゼンしないと、とか言っている(仕事か⁈)。6時前起床。今日から治療再開。

1月5日
屋台の上にいくつかの品物を並べて、しきりにそれらを離したり、また寄せ集めたり、置き換えたりして、何らかの効果を測っている。幻術師、あるいは手品師、それこそはいまの私だ。(『宿命の交わる城』)

『宿命の交わる城』読了。二組のタロットを使っての二章だて。城、あるいは第二章の舞台である酒場に辿り着くまでに言葉を失った人びと。彼らにできるのはタロットを選び縦横に配列しそこに自分の物語を読むことだった。

それぞれのカードの絵柄の性格に引きずられすぎずに、むしろ配列の方に妙を見るように、作者の個もそぎ落とすようにして、物語を巧みに繰り出していく。中世の名品の絵柄からの連想なのにコンピューターとか地下鉄、合成洗剤とか出て来るのが悪戯心でおかしい。

最後は絵画をモチーフにしたり、シェイクスピアの悲劇をタロットの配列で語ったりと、自分を捨てて自在に語り抜けている。

またも6時前起き。ゆうべはなぜか疲れて9時まで起きているのがやっと。斜め向かいのベッドのちょっと重い感じの人が、今すぐ家に帰りたいと言って看護師を困らせていた。仕事先で水害に遭うが脱出、なんて夢。

1月6日
二度寝、三度寝、まだ午前。みなさん、お仕事がんばって〜^o^

今日も早寝早起き(今、5時40分)。あれこれと快方に向かう夢(現実はその三分の一くらい? 左足が少しだけ動くようになった)。

1月7日
配膳がオートになるが、いいような悪いようなという夢。週刊ポストに昔のアイドル 桂木文さんの伝記の連載が始まり、読んでいるうちに本人に会ってしまう。5時すぎ起き。今日もストレスとの闘い?

1月8日
今日は昼寝するのにもってこいの日ですね。当方、午後になると患者たちの体温があがる、南に面した病室^o^

「おとなしくさせればいいだけのことでしょう」某国首相

朝から病室をカスタマイズ^o^

「悪い」方じゃないといいけど^o^ 2015年のテーマは「金」 http://curazy.com/archives/57533 @curazycomさんから

夜中に動かない左足の腿が張って痛い(動かせないので、重みで変なポジションに?)。看護師さんに診てもらうがすぐ元通りに。結局、眠さに負けて。六時まで寝た。

1月9日
誰か女性がそばにいたような、思い出せません、夢(^o^)。夜中に左の腿がまた痛くなって看護師さんに診てもらう。六時過ぎまで寝る。

1月10日
僕としてはずっとサザンの曲としては散漫だなと思っていたのですが…

あと十日我慢すればというのが一月以上続いている(^ー゜)

カルヴィーノさんの『アメリカ講義』3分の1読んで、ちょっとお疲れ。そこそこ集中しないと読めないくらいで、面白い文庫はないかな?

カルヴィーノさんの文庫、ちょっと休んで、つなぎの文庫を探す。鶴見さんや植草さんのコレクションは厚すぎ、で小沢信男さんの未読の、千人斬り、にしました。

昨夜、そんなに遅い時間でもないのに、トイレに行きたいと言ったら、オムツをつけられてしまって(それでベッド上で排便できるほど「ゆるんで?」はいない)、左腿が痛いこともあってあまり眠れず。違和感が気になってしまうので5時すぎに無理やり起きてしまう。

1月11日
ガンが見つかってから2篇目の詩のモチーフが見えてきた。

早く眠ってしまう。足の痛みは出なかった。お尻がもぞもぞするけど、下剤がうまく効くのを、待ってあきらめ、6時近くまで眠る。

1月12日
アベハラ って言葉として分かりやすいかも。歌にするのも簡単? 「バラバラ」のリフで♪アベハラ アベハラ アベハラ 地上げよりアベハラ いじめならアベハラ

カルヴィーノさんの『アメリカ講義』読了。ハーヴァード大で予定されていた集中講義の草稿。ハーヴァードの学生でも各回ごとにプリントをもらってチューターと復習したくなるようなヘヴィーさ。

見えてくるのは世界文学の深さ。日本で、これは「純」文学か否か、なんて言っているのが、しらけてしまうレベル。

吉本隆明さんの『今に生きる親鸞』半分くらい。kindle、少し慣れてきた。

吉本隆明さんの『今に生きる親鸞』、kindle本で読了して、10時前寝る。5時半すぎ起きる。親鸞の方法は世界の現状を見つめ、対峙するには役立つかも知れないけれど、よほど突き詰めないと、軽くは言えない。

1月13日
kindleで「自選 谷川俊太郎詩集』。僕の生まれる前の作品から直近のものまで。それぞれの時代に合わせて新しい試みをしてきた。高校の教科書で読んだ「ネロ」とか、大学の時に読んだ「夜中に台所でー」とかかっこよかったなあ。

今の目で見ると時代の中でプロとして貫いてきた分、ほころびてきているように感じる。概念的なものの扱いなど、いつも「この辺」までだったなあという不満も。でも行き過ぎないのが「ウケ」の原因かも。個人性への確執じゃないんですね。

1月14日
何か西洋史の登場人物になって、焼き討ちにあうという情報が入る(笑)。でも夢のなかで助けてくれる人々がいたようです(爆)。6時起き。

考えに考えて注文した本が、文庫ではなく、ハードカバーだと家からメール。安すぎたので中古文庫と感違い。本が途切れるのは嫌だなあ。

kindleで河合隼雄さんと小川洋子さんの対談を購入。

早く寝すぎて、日付が変わってからはずっとウトウト。患者の中で一人だけ(誰? カリスマ?)特別にするかという議論。と言っても、パジャマの下にシャツを彼だけ着せるべきではなんてレベルの話。五時過ぎに起きちゃう。

新聞やテレビの内部の劣化を明快に分析する、内田樹さんの『街場のメディア論』、必読です。一般人より事実に触れているべき彼らが、報じません、そんなことがあるんですかととぼけながら、業界の利益優先になるとき、一気に存在価値を失う。

「メディアが急速に力を失っている理由は 、(略) 「誰でも言いそうなこと 」だけを選択的に語っているうちに 、そのようなものなら存在しなくなっても誰も困らないという平明な事実に人々が気づいてしまった 。そういうことではないかと思うのです 。」内田樹さん

1月15日
夜中に目が覚めてしまって、新しく病室に来た、元気な入院ベテランの肺炎のおじいさんの、寝言ともつかない、おおきないびきで眠れず。6時前に起きる。

内田樹さんの『街場のメディア論』了。メディアを贈与と返礼という視点で捉え、ビジネスとしか考えられなくなっている現状を批判。僕も本や音楽にもらったものを、いまだに返そうとしている気がします。

1月16日
これから読む本。『悲願千人斬の女』『資本主義の終焉と歴史の危機』『新しい風土記へ』『思い出袋』『パロマー』『シチリアでの会話』『パパの電話を待ちながら』

抜け毛が分け目を襲い出した^o^

僕は「ピースとハイライト」も「アベーロード」もそんなに面白いと最初から思ってない。時々ビートルズを気取りたがる人気者の彼らの元々の曖昧さを再確認するだけ。謝罪? でホッとするファンも多いのでは?

パリの事件について、僕の気分としては、仏教の団扇太鼓をたたいて念仏を唱えたい。こーゆーことを言うと知り合いが去っていく感も。でも西欧とユダヤ教のペースにどんどん巻き込まれているんじゃない?

何か社長から大きな企画の提案(ヴィジュアル辞書?)。ベッドが狭くて寝苦しいともがきつつ、5時半まで寝た。

1月17日
自分が世界の抵抗点になるような言葉や行為を探さないと。かっこよく言えばそんなところ。

ブログの「ノート」シリーズの第2弾から始めるかと思うが、ログインの仕方がわからない^o^ PCだと、アカウントとか、すぐ読めるんだけど

水野和夫さんの『資本主義の終焉と世界の危機』了。中世史までを取り込んで、アベノミクスを批判し、成長神話を捨てての定常状態へのソフトランディングを提唱。ピケティさんより明快かも(読んでないけど^o^)。

根治はしないけど、家に帰れたなんて、考えているのか、都合のいい夢うつつ? 5時過ぎに起きちゃう。

この間の本についての書き込みをブログに一部整理してみました。
http://blog.livedoor.jp/f4511

1月18日
個別的な理由ではなく 、もっと根本的な理由でアメリカはイスラームと 「不俱戴天 」の関係にはまり込んでいる 。それはアメリカ主導のグローバリゼーションはイスラーム圏が存在する限り成就しないからです。(内田樹さん『一神教と国家』集英社新書、中田孝さんとの対談より)

国民国家 ・領域国家それぞれの主権と独立性を強化し 、隣国との利害の対立を強め 、国民同士が憎しみ合うように仕向ける 。つまり国民国家 ・領域国家を強化するという政策が選択される 。それがイスラ ーム圏におけるアメリカの基本的な戦略だと思います 。(同前)

5年前に飛ばし読みで終わらせてしまった感の、鶴見俊輔さんの『新しい風土記へ』(朝日新書)と『思い出袋』(岩波新書)を家から持ってきてもらい、ゆっくり再読。前者は対談集、後者は月一回で7年に渡って書き継がれた短章集。一見軽そうでゆっくり読むと、立ち止まらざるを得ない箇所につまずく。

『新しい風土記』では、アジアの国境地帯で活動する中村哲さんやホスピスケアのある診療所を運営する徳永進さんの、裏付けのあるさりげない言葉。さらに、中国の日本研究者、孫歌(スン・グー)さんとの、竹内好さんの戦争中の、反動的ととらえられかねない文章に、抵抗の姿勢を見抜く姿勢(続)

池澤夏樹さんの北海道や沖縄に移り住むことで、東京中心の世界観に毒されずに、そこに生きる人々の怒りを感じられるようになるといった指摘が、さっと読み飛ばせない重さを持つ。読み終わったと思わずに、何度もページを開いてみたい。

1月19日
ブログの文章の直しを考えたり。うとうとしつつ、5時半一回起きる。

朝から目がさえてしまって、ブログ更新^o^
http://blog.livedoor.jp/f4511/

小金でも使ってやるかと思っても、けっきょく見るのは中古本やkindle本、着る機会、今のところないのにロックTシャツ^o^ ま、所有欲はないので、こなせないものは買えないですね。

頑張ったけど、昨日から今日にかけて、文庫と新書、三冊しか?買えない(^ー゜)

iPadに慣れていないせいもあるけど、Amazon以外に本をうまく探せる方法がないかしら。
内田樹さんのユダヤ文化論、中沢新一さんと河合隼雄さんの仏教談義、富士正晴さんの中国の賢者譚。昨日から今日にかけての注文、ここまでか(^O^)

1月20日
元ユリイカの畏友Sくんが編集部の水道をいたずら。水祭りのようなことをもくろんでいたらしいが、使えなくなっちゃったので、社長にバレる前に何とかしないと。うとうとして6時起き。

これだけ本関係の人を厚くフォローしているのに、政治関係のツイートばかりが多い。政治を真面目に考えている人が増えているわけでもなく、RT野郎の跋扈?

事故でバラバラになった体をつなぎ合わせて、人工皮膚をかぶせてもらった自分が、今、ここに寝ているという夢。5時過ぎ起きる。早起きナースコールが少ないのは寒いからまだみんな寝ている?

ザ・ニュースペーパーがテレビから干されても何も感じない人々が、サザンに揺れている(≧∇≦)

1月21日
またブログ更新しました。「非国民」の方々にも「非国民」と思われる内容?http://blog.livedoor.jp/f4511/

ま、オバマの尻にくっついて、イスラーム国破壊に加わりたいとすれば、人質の命とか関係ないというあたり?

「積極的非国民」と自分を呼ぶことに。かっちりした定義はまだないが、ウヨから「反日分子」「非国民」と呼ばれる人々からも煙たがられる存在といったあたり。

その後、鶴見さん編の『本と私』、網野さんの『歴史を考えるヒント』、『無根のナショナリズムを越えて 竹内好を再考する』を注文。面倒なことは集中して考えて、あとは本でも読んで考えていたい。送料込みで計916円^o^

1月22日
よく眠れず。頭の中で文章を書いたり、今までに見たライブや芝居を思い出したり。特殊なドレーン(身体にさした管)が大変なことになって大騒ぎ、でも、その存在も含めて夢だった。5時に起きちゃう。

5時に起きて夢うつつに考えたブログのモチーフを、検索して確認しつつ親指入力していたら1時間ちかくかかっちゃった^o^

足が少し楽になったので、久しぶりに体重を測ったら43キロ、通常は60キロ弱。小中の頃以来か、この軽さ。

体力は落ちているはずなのに、何かもてあましている感じで眠れない。5時起き。で、安心して、もうすぐ二度寝へ?

1月23日
一番バカなのは安倍で、悪いのはオバマとネタニヤフ。

わりと眠れた。5時起き。また寝ます。

合州国で日本語の先生をしているSさんからコメントいただきました。外国での事情も見えてくるといいですね。今後もよろしくお願いします。 http://blog.livedoor.jp/f4511/archives/52404782.html#comments …

1月24日
ブログ更新しました。伊勢﨑賢治さん、「あの」山内和彦さんたちを取り上げました。
http://blog.livedoor.jp/f4511/

iPhoneの右チャンでサービスプログラムをやると言われても、長時間付き合えないなあ(だいたい持ってないし)、なんて夢。うとうとしつつ、朝まで起きなかった。その代わり4時半起き、また寝るけど。

安倍が起きていたというだけでびっくりしている。

で、次にどうするるかはオバマ待ちですか。

1月25日
戦争がしたくて勢いのいいことを言い続けてきた安倍が、蓋を開けたら、米国とイスラエルのただの道具、笑い者にもされてバカ丸出し。

つまらないからネット古書でも探しにいこう。1日、送料込みで千円まで許す^o^ ただし、ちゃんと読むという方向で。

自衛隊は、武力行使しないままで、世界の紛争地区でソフトな存在感を発揮していくべきという、伊勢﨑さんの提言に賛成。武力行使を求める声はむしろ無知な国内勢力? http://blog.livedoor.jp/f4511/

安倍はオバマのシナリオ待ち。突撃しろと言われればするだろう。

だから欧米が民主主義とか言論の自由とか言っていることの滑稽さがバレバレになったこの一月。オバマはソフトに見える人殺し。安倍はその巾着。

ネット古書、朝から頑張って探して、1冊注文。送料込み305円^o^

日本の古本屋だと、振り込みのケースも。これは家族に負担だな。入院中ですので。

読書熱を冷ましたい時は、高野さんがオススメと言って買ってきてくれた「半七捕物帳」を一話分読む。えぐぐなくてよい。

ただ今現在、ネット古書二冊、送料込みで563円。充実^o^

今日のネット古書買い、大江さん、ドストエフスキー、カフカ、計3冊。送料込みで1066円。予算の1000円をオーバー、許す^o^

俺は権力だ、偉い、という思いと、取り巻きのヨイショ以外に、今の安倍を支えるものがあるのだろうか。

安倍問題を抜きにすると、日本のピースフルな存在感は国際貢献に使えるのでは、という視点で考えてみました。米国もNGOなど、金まみれのトップを除けば、見えにくいかもしれないけれどまだ行ける。 http://blog.livedoor.jp/f4511/

夜半にベッドなど、病室の器具についてアンケートをとると言われて、どこまで夢なのか、アンケートはやっぱりあって、眠れず。4時に一回起きちゃう。志郎康さんに追いついてしまった^o^

昨日3冊もネット古書を注文したのに、夢の中でうつつに、今、読みたいのは家にある2冊だと思う。ちょっと落ち着け^o^

1月26日
富士正晴さんの『中国の隠者』、基本的に「論語」の解釈、それまでの読みのひっくり返し。あと100ページも読めば慣れるかな。

難しい決断を前にホイホイとネット古書をポチッとしている私^o^

僕としての考えはできているつもりだが、それが家族の物理的・心理的負担にならないよう。うーん。もう一冊買いに行くか、ネット古書(≧∇≦)

やめとこ。

夜半に緊急入院の人が病室に入ってばたばた。余波?で、手塚マンガ的な大事故にあって治療される夢。5時前に起きる。

1月27日
辺野古、こいつらが反対するから、とことんやってやれ、みたいになってないか。

Amazonの連想ゲームでは、これが読みたかったんだという本を思い出せない、出会えない。堂々めぐりっつーか。

『むずかしい愛』『江戸怪異草子』『ジョン・レノンが見た日本』、今日のネット古書送料込みで904円^o^ 病院の薬品の空き箱で本棚を作って遊んでます。

ある大事故を巡って社会面で処理するチームと心理面のチーム(僕はこっち)の交信が混戦。交信はテレパシー。好きな女の子と小学校で居残り自習してるのに、先に帰っちゃうという展開?で4時起き。

とりとめもないことですが、考えから外せないことをブログに。
http://blog.livedoor.jp/f4511/

1月28日
朝から病室をカスタマイズ^o^

子ども1♀が選んでくれた、非ビジネス手帳。手の動きが安定して、字もきれいに書けそうなので、これから使います。

二時間くらい寝たら目が覚めかけてしまって、頭が書いた詩を17行メモ。皆さんはずっと起きてるんですね。僕はまた寝ます(^_−)−☆

1日3冊買ってどうなると思ったけど、岡崎武志くんの5分の1程度と思えば、全然問題ではないと「納得」(^_−)−☆ 植草さんは最初から対象外(^_−)−☆ また眠れるかな。

結局、4時までうとうとして起き出す。うとうとしながら、一応かたちついた詩の入力、これは見直してさとう三千魚さんにみてもらおうかな。忘れていた作家の著作を調べてもう少ししたらまた寝る。

で、やっぱり寝ながら考えたけど、植草さんや岡崎くんのように、お店で本を探すのではなくて、ネットのデータ見て買うなんて、いつでも出来ることだと思って、やめます。

さとう三千魚さんの「浜風文庫」に、詩「坂の上の家」を載せていただきました。お読みいただければ幸いです。 https://beachwind-lib.net/?p=4762

1月29日
一昨々日に運び込まれた患者さん、苦しそうな上に、脳に来ているらしく、拘束されているという妄想? 4時前にさすがに起きちゃったら、少し静かに(^O^)

1月30日
TLからユーモアやゆとりがなくなってしまうというのも、ペラサだと思うんです。

戦争が始まる。中東のどこかにいる。親の仕事の関係らしいが、親は出てこない。まだ戦地にはなっていない。よその地域にいる友達に連絡する、夢。三時に一回起きて、ゴロゴロするが、眠れず、四時に起きちゃう。

1月31日
ロウの雨を浴びる。病室に寝ているのに何で、と思いながら、久しぶりに3時半くらいまで、目が覚めず。寝直して、いま、5時。

残念というより、これは安倍、菅、麻生らによる、明白な殺人である。

今日は比較的よく眠れた。病室では読書ばかり。寝る前と起きた時の緩い読書は、大学の同級生のTさんがくれた、『半七捕物帳 2』と植草さんの『いつも夢中になったり飽きてしまったり』。

 

 

 

Before going to work, I read TAKAGI Jinzaburo’s essay in a cafe. So fine here.(5)

※2014年10月末から2015年3月までの渡辺洋さんのツイート、FBポストの一部です。

 

渡辺 洋

 

 

2月1日
「狼」シンパとしては、テロ全否定じゃないです。

つまらないから、ネット古書さがすか。

にぎやかなこって。

あ、僕ですか。超法規で一回やってみたら。自衛隊もアホにはついていけないんじゃないかな?

看護師さんたちに本のお薦めはと聞かれたりする。彼女たちの読んでいるのは、宮部みゆきさんや角田光代さんの小説、難しいなあ。

眠ったような眠れていないような。2時半に一回起きてまた寝ます。

朝早くから夕べ書いたブログをチェックしてアップ^o^
http://blog.livedoor.jp/f4511/archives/52406769.html …

2月2日
気が付いている人が少ないみたいなので、今朝のブログ更新、再通知しますね。http://blog.livedoor.jp/f4511/

何度起きても、そこには本がゴロンとあるだけなんて夢。3時、一回起きる。
http://blog.livedoor.jp/f4511/

寝直そうとして、うとうとしてたら、詩8行ばかり、また寝直すと、後半も頭に浮かんでくる? それは無理かも^o^

2月3日
自分なりに整理すると、安倍とその周辺を爆殺するのが「テロ」、パリのは「事件」、イスラム国のは「誘拐」、米国がやっているのは、戦争、内政干渉。日本はあくまで「平和維持活動」。

一時、尿意で目覚め^o^ 寝直そうとして、頭の中で、昨日は捨てかけた2行復活、続きが4行浮かぶ。起きて入力、で計11行。朝、目覚めるまで、後半も出てくるのかな。

4時に起きて、うとうとしながら頭の中で書いた9行をメモ。また寝てから見直そう。

五時半起き。詩、見直し。三千魚さん、この前の今日ですが、おくっていいのかな?

詩をさとう三千魚さんの「浜風文庫」に載せていただきました。夢うつつ執筆シリーズです。ぜひご感想を。 https://beachwind-lib.net/

2月4日
某国で人気連続ドラマの再放送のお手伝い。生テープの放送が各家にダイレクトに配信なんて夢。三時くらいに起きて、今、二度寝で五時前。

朝から本を買いたいモード。もう、新刊と古書(送料込み)、3冊で1600円も。後が怖い^o^

2月5日
痰を大きな音で吐く患者さんが2人入室して、当分安眠は無理そう。1時前くらいに起こされて、あとは5時前までうとうとしただけ。ご本人たちはまた楽になって眠っちゃうのかな。

朝から夕べ書いたブログをチェックしてアップ。前回の続き? やや短めです。 http://blog.livedoor.jp/f4511/

2月6日
輸血がなかなか終わらず、12時寝る。さすがに眠れたと思ったら勘違いで、4時じゃなくて2時過ぎ^o^ ばらばらの詩を5行書いてまた寝よ。

「フライパンに首相」という一行を書いてみたが、どう使えばいいかな?

2月7日
2月半ば退院できたとしたら欲しいもの: 自分が要求されているのかと心当たりのある方も、強制力はありませんのでご安心ください。年末よりやや淡白になってます^o^
加藤和彦ヨーロッパ三部作(CD+本)
デヴィッド・ボウイ「シングルス 」
スティング「ザ・ラスト・シップ」
ジョンの映画「イマジン」のTシャツ

社会的に認定された。日常生活の諸行動を一人でできず、若干、認知も。保険認定なのだから喜んでいいのか、これ以上リハビリの効果は出ないと言われているみたいな。

2月8日
博士が船内の規律を緩めてもう少し「出会える」ようにしたいと言うので協力。早速、1、2組脈が。3時半起き、また寝ます。

ブログ、アップしました。感想など、ご遠慮なく。 http://blog.livedoor.jp/f4511/

「テロリストのレシピ 首相の天ぷら」というところまできたが、まだ使えないかな。あ、首相を天ぷらにしちゃうという意味です。

来週とかさ来週とか、家に帰れそうなので、自分へのご褒美を買いたい気がするが、ネット古書、送料込みで500円とか言うのでは^o^

2月9日
向かいのおっさんが一晩中おめいていて、こっちまで病気になりそう(ま、病気ですが)。3時過ぎ一度起きてブログを書き、また寝て五時半起き。

Blog、早朝から更新しました。 http://blog.livedoor.jp/f4511/ 感想を書くのは怖いかもしれません^o^

読書欲ちょっと中断。あれこれ退院事務? 家と話をすり合わせるのがむずかしい。

2月10日
今日は疲れて寝ていたのだけれど、向かいのおっさんのおめきがうるさくて眠れないぞという斜め向かいのおっさんの怒鳴り声で12時に目がさめる。おめきのおっさんはナースステーションに隔離。また寝て起きて今3時。

2月11日
結局、向かいのおっさんは眠りに向かってリラックスするほどに、喉が開いてしまうという、フツーの人にとっては難しいことをやってるみたい(自覚で修正できない)。11時すぎ、ナースステーションに隔離。何度も目がさめる。いま2時半、また寝ます。

5時半起きて、昨夜読み終わったパヴェーゼさんの小説『故郷』の感想を書いたり。

Amazonのベストテン、エンタメだけになりました。

来週前半には退院できそう。DVDとかCDとか、原書とか、ネット買い物の幅が拡がっちゃうなあ^o^

2月12日
疲れて9時半頃寝るけど、向かいのおっさんの大おめきで、11時半起きちゃう。皆さん眠れず。斜め向かいのおっさんの抗議に看護師さん、抵抗してたけど、うるさいので12時半「隔離」。3時過ぎ眼が覚めるけど、再度、5時半まで寝る。

採決で貧血。ヘモ低すぎで午後、輸血。弁検査もしたいとのことで、トイレでいきむけど、酸欠で帰り立てず。本当に帰れるの? 家。

2月13日
帰宅準備がほぼ整った矢先の大貧血。嫌だな。向かいの喚きおじさんは、9時過ぎにお約束のように隔離。3時くらいに一度覚めて、寝直していま、5時過ぎ。検査やるとして、何かあったとして、長丁場の手術に耐えられる 身ではないので、前向きに行くしかない。

ブログを更新しました。読書感想文ですね。 http://blog.livedoor.jp/f4511/

2月14日
向かいのおめきのおっさんが、9時の消灯とともに自動的に隔離されるようになったので、ヒジョーに静か。2時すぎおしっこで起きて、今、起きて4時。また寝ます。

この本は50ページくらい読めば何の物語か分かるのだろうか^o^

スカッとするほど欲しいものないなあ。

2月15日
重い人に変わってとのことで(あ、たぶん扱いがね)、昨日の午後から大人しい部屋^o^ 2時半頃一回起きて 、5時に起きて、今。大貧血の原因を調べる検査は月曜なので、これから寝ようとするときはお先短い気になるし、起きると短期間でも何とかという気になる。まだ明けませんね、5時半。

ブログ更新。心の話。 http://blog.livedoor.jp/f4511/archives/52408693.html …

2月16日
12時過ぎくらいに、隣の空きベッドに担ぎ込まれた人が痰か喀血で騒がしく 、しかもスタッフたちの知り合い? 何か騙されている気がして^o^、夢が混乱。5時に起きる

2月17日
静かな病室だけど、5時に起きちゃう。ま、9時半にねてますから^o^

今朝も頻脈か。まいったな。

雪。

詩を6行。このままだと今までのものと変わらなくなってしまう。休ませて考える。

明日の午前中に、帰宅できる模様。いきていれば^_−☆

2月18日
今日帰るという緊張のせいか、あることないこと考える(誰も言っていない精神的リハビリとか^o^)。三時くらいに一度起きて、あとはあることないことの想像の繰り返し。五時半起きる。

すごく帰りたいのに、帰り着くまでが、ちょっと怖い^o^

昼前に帰宅しました。タクシーなどの移動でばてちゃって、大丈夫なのかと思いましたが、休んで楽になりました。

ま、家族、体力ないのがそろってますので、動くとき怖かったりしますが、やっぱり他人に囲まれていない静かさはいいですね。

2月19日
最近は、こんな詩でいいのかなと思える詩が書けると面白い。20行。

2月20日
今、起きました。接続スピードの低下のため、アプリを再インストールしたり。大体できるようになったかな。

病気が楽になったら、こんな仕事をしようという夢。まったく覚えてません^o^

(「浜風文庫」に、「生きる」を公開)

退院したらぽわっとしてしまって、読み書きの集中力もダウン。映像も一時間が限度。杖とかで立つのはだれかについてもらって1日2回くらい。はてさて、セルフイメージとか気力ほど自由じゃないのは変わるのかな。体重の復活とか。まだ二日目ですが。

身の回りの家族が健康だと、自分がいかに重症患者か、痛感しますね^o^

気力と明るさの再チューニングの問題。

1月からのブログ、イタリア小説の話。12回目なので、書き方もここで一区切りにしますか。 http://blog.livedoor.jp/f4511/

2月21日
遺言書とか遺影とか面倒だ^o^

墓どうすっかで、しばし盛り上がる^o^

2月22日
4時半起き。家族まだ寝ているので7時過ぎまで二度寝。

病気のために色々調整するアプリを変えなきゃとうなされるけど、そんなアプリはないのでした。毎日こんな感じ^o^

2月23日
何度か起きる。六時半、ちゃんと起きる、といっても寝たきりです^o^

備品を揃えるのに一苦労。って何の夢なんですか^o^

こうしたコメントやフィードバックが持続できるといいですね。 https://beachwind-lib.net/?cat=26

今日は葬式の話など、方向性はだいたい解決^o^

物欲ありませn^o^

今度は戒名か。面倒だ。彼女の家系ではつけてないとか。自分でつけるか。

2月24日
こんな資料を整理しないと、と悩む夢。眠り薄。7時までうとうと。

友あり、信州から来てくれる、ありがたいことです。

2月25日
実害を受けてるわけでもなのに、kindleには気をつけないとなんて夢。夜中一回起き。六時半起き。しばしうとうと。

このまま、と思えるくらい、寝直してしまいました^o^

ナターリア・ギンズブルグさんの、日本での初めての翻訳、30年前の『拝啓ミケーレ君』(千種堅さん訳、早川書房)を図書館で取り寄せて半分くらい読む。傑作なれど、貸出カードも真っさら^o^

ある家族や友人たちの不安定な関係を、手紙や会話で書き抜く『拝啓ミケーレ君』、読みやめられません^o^

2月26日
夜中に各ガン家庭に調査が入り、突っ込んだ議論をしたような気がするが、全部夢か? 7時起き。

気持ちの霧をとりあえず払うまでちょっと時間がかかりますね。愚痴でした^o^

『拝啓ミケーレ君』。書簡や会話を中心に、彼の母、女兄妹たち、元恋人、結婚したが続かない妻ら、それぞれの不安定な人間像が交錯する。日本文学だったら、人間像をもっとかためてしまうのでは? 最後には彼はファシスト・グループに刺し殺されてしまう。生き方そのものの不安定さを描いてますね。

タイトルだけできた。ふふふ^o^

2月27日
この何ヶ月かは実は隣国主と遠い旅に出ていたとう夢。六時過ぎ起きる。

友あり、米子から会いにきてくれる。ありがとう。

2月28日
寝てる間って、勝手なことを考えているだけなんだと考えながら眠る。7時前起きて、もう少しうとうと。

 

 

 

Before going to work, I read TAKAGI Jinzaburo’s essay in a cafe. So fine here.(6)

※2014年10月末から2015年3月までの渡辺洋さんのツイート、FBポストの一部です。

 

 

渡辺 洋

 

 

3月1日
この名言朗読ぼっと、すごいなあ、と夢に思いつつ、夜中に一度覚めたあと、7時起き。

3月2日
自分の運命の夢見人2人の夢を見ようとして新しい夢が割り込んでくる。それを見ている間は生きられる? って、これも夢? 一回起きて、六時半起き。

3月3日
無骨で発声に問題のある民族に縁あって生まれ変わる。こういう手もあった、けど夢。7時前に起きる。

3月4日
何か使役に駆り出される悪夢。ひーっ。六時半に起きる前に忘れられたかな。

本を読むと眠くなる。内田樹さんと白井聡さんの対談『日本戦後史論』。すごい切れ味ですね。

3月5日
二種類の夢を何度も交互に見る。もう目が覚めなくてもいいや、と思いつつ、7時前に起きる。

本を読んでも、ベッドの頭を上げ下げしても、眠い。一日中、それだけ !

『日本戦後思想史論』、現代日本人の自己、自国破壊衝動にまで入って来ました。

3月6日
後は治しようのない体ごと取り替えてもらうしかないか、と思いつつ、六時半起き。

3月7日
何か、僕たち、政治的に差別されてない? 僕だけかな、と思いつつ六時半起き。

3月8日
夜中に今までの夢は中止です、と宣告され、そのあとはうやむやという^o^ 六時半起き。

3月9日
これは素晴らしいと思う救出策だったが、やはり無理? 6時過ぎ起きる。

気持ちが上がらない。読んでいただける方々に向かって最低の選択肢を口にしそうになるが、うとうとして、少しましになる。毎日が繰り返し。愚痴を許してください。

結局、今は、時期はわかりませんが、死ぬことは決まっていて、それを点滴、輸血で先延ばしにしているわけです。僕自身はもう逝ってしまいたいような、ただただ心細いような、ここに生きていて、自分の言葉が決まらない、不安定な気持ち、それに苦しんでいるわけです。ふるってご意見お寄せください^o^

3月10日
お腹が空いたと思いつつ、なにも夢見ずに、2回おきて、六時半起き。

ここでコメントできないのが自分でも辛いですね。ざっくばらんにお話ししてもいいのかな。

今日からこの言葉を、という言葉の流れがほしい。

3月11日
病氣に関するどうでもいい秘密を明かされながら、えーっとか思いながら、また寝て六時半起き。

その時、病気は白い石の形をしていて、それをもっているかぎり僕は死ぬのでした。

みなさんどうもありがとうございます。今の病気が「よくなる」のはどういうことか、まだうまく説明できませんが、御厚意は承っておきます。

3月12日
病気だけど、地震に対してもメッセージをとか思いつつ、6時起き。喉カラカラ。

難しい本、読めません。読む姿勢とかもあり。岩波の辻さんの詩集、kindleないのか。

3月13日
6時から点滴、寝ながら打ってる?

今日から治療実験。動いたら危ないと、すごく神経質な人と、フツーに考えている人と二極。

3月14日
今日は不調。お見舞いの方にも申し訳ない。

3月15日
ちょっと熱がと言われ8時まで。ひゃあ。

すごく暇な治療実験。要する固形物を摂取せずに、ひたすらじっとしているという。看護師さんもペースが合ってきた感じ。

ありがとうございます。一番うまくいってどうなる?という実験です。外に出られたら、奇跡かもしれません。

3月16日
辛かった目覚め。8時くらい起き。

3月17日
おしっこを手伝ってもらうだけでない生活を模索。寝起きがうまく行かない。7時起き。

とりあえず個室にいます。これからかんがえていることはいくつかありますが、基本的にはやすんでいろという状況。文句を看護師にぶつける一方(怒る)、気を使う患者でもあり。

CDプレイヤー導入。でもレイアウト上、自分だけでは操作できず。一歩進歩?

部屋については1618でした。

3月18日
何か弄ばれているような夜の担当看護師。眠れないよ。

3月19日
眠れているけど休めている? 8時おきくらい?

3月20日
ちょっと体調きついです。見送りできますか。

 

 

(3月24日逝去)

 

 

 

編者(長尾高弘)

注: 2014年10月末から2015年3月までの渡辺洋さんのツイート、FBポストの一部です。この時期の洋さんのツイート、FBへの書き込みには、夢の記述などに詩的なものが数多く含まれていること、洋さんはこの時期に3篇の詩を書かれているわけですが、その背景が伺われるものも多いこと、そして病気とのあまりにも過酷な闘いが読み取れることから、編者自身の気持ちとしてまとめて読みたいと思っていたものです。それぞれのログから起こしてあります。誤字が散見されますが、病床で書かれたものですから、逸る気持ちでそうなったという感じを受け取っていただくために、そのままにしてあります。ツイートの場合、FBにも入っていますが、両者で日がずれるものがあります。それについては日付は基本的にFBに合わせてあります(内容から判断してそれが正しそうに思われたからです)。リツイート、シェアなどの他人の文章は省略してあります。省略したものは大半が政治に対するコメントなので、それらが入るとかなり印象が変わるはずです。リツイート、シェア以外にも、繰り返し(再プッシュ)やプライバシー的にどうかと思うものは省略してあります。もっとも、それ以外は残してあるので、洋さんが直接書かれた文章はほとんどがここに含まれています。FBのポストに対するコメント欄の文章は、半分くらい収録してあります。人名は著名人、学者、文化人、詩人以外イニシャルのアルファベットに書き換えてあります。

 

 

 

pot つぼ 鉢

 

今朝は
スープをつくらなかった

昨夜
曽根さんと飲んで

神田で
銀座線に乗ったのかな

中目黒で乗換えて
気付いたら

日吉だった

新丸子で
夜中に

渡辺 洋さんのツイートを読んだ

長尾さんが纏めてくれた

いつもポットに
スープを入れて会社に行く

 

 

 

such そのような

 

モコは元気がなかった

散歩にいこうといっても
困った顔で

みあげていた
うずくまっていた

それで病院に連れていった
血液検査をした

怖がり痛がるからだを押さえて
血をぬいた

検査結果に問題はなく
整腸剤をもらって帰ったのさ

そのような休日だった