石の息

2017.4.1.

 

芦田みゆき

 

 

4月の初め、石の彫刻家Iwaneさんの群馬県のアトリエを訪ねた。
自然をたくさん観たいという私の希望で、二人は車で近くの山へと向かった。
途中、無人の石切り場が見えてきた。
私たちは車を降り、そっと散策に出かけた。
草むらを掻き分け進んでいくと、川の音が聞こえてくる。
小さな川を越えると、切り出された石の山が見えてきた。
Iwaneさんはすべるように石のあいだを移動していく。
山の斜面に木が生えている。
石の土地にどうやって木は生えるのだろう?と覗き込むと、
石を抱きかかえるように木の根がしっかりと伸びていた。
あぁ、私たちは地球の表皮に立っているんだ。
そして石の彫刻とは、地球の一部分を切り出し、
エネルギーを移動させたり、刻んだりすることなのだと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続とがりんぼう、ウフフっちゃ。

 

鈴木志郎康

 

 

急げ、
急げ、
追いかけろ、
掴まえろ、
とがりんぼうを
掴まえろ。
それしかないっちゃ。

夜明け前の
三時を回ったところだっちゃ。
目が覚めたっちゃ。
今や、
とがりんぼうは、
外に出たっちゃ。
ということは、
中に入ったってこっちゃ。
二本杖でも外歩きできない、
ベッドに横になってる
俺っちの
頭の中に、
入っちまったってこっちゃ。
外へ出るのが中に入るって、
とがりんぼうは、
ややこしいこっちゃ。
出たり入ったり、
入ったり出たり、
ややこしいこっちゃ。
とがりんぼう、
ウフフ、
ウフフっちゃ。

世が明けたっちゃ。
中の中で、
追っかけろ、
外の外で、
追っかけろ、
捕まえろ、
とがりんぼうを、
捕まえろ。
iPadで、
掴まえろ。
腹へったっちゃ。
せんべい一枚口にして、
とがりんぼうを
掴まえろ。
とがりんぼうは
掴みどころがないっちゃ。
つるつるつるーん。
捕まえても、
ツルリンボーって、
すり抜けて、
逃げちゃうっちゃ。
俺っちの、
このごっつい手じゃ、
掴めねえな。
ほら、もう、
中の中の、
外の外の、
セブンイレブンの角を曲がって、
見えなくなったっちゃ。
げそっと来ちゃうぜ、
とがりんぼう、
ウフフ、
ウフフっちゃ。

とがりんぼう、
とがりんぼう、
尖ってるのは、
俺っちの
言葉の切っ先か。
つるつるつるーんは、
俺っちの気分か。
つるつるつるーんを
被った
尖った言葉が
外の外の、
中の中の、
セブンイレブンの角を曲がって、
何処かに行っちゃった。
ツルリンボー、
今朝もまた、
摑まえるのに失敗だっちゃ。
げそっと来るんだっちゃ。
とがりんぼう、
ウフフ、
俺っちには、
それしかない
とがりんぼう、
ウフフ、
ウフフだっちゃ。