受けとめず流されながらゆくおろおろと

 

ヒヨコブタ

 
 

花ひと鉢買い求め
水をやる
おそるおそる
枯らしてしまうのが得意で
いつもおそるおそる手を伸ばしてきた

あなたの報せは性急なことではないはずで
それなのにあまりの動揺にわたしはわたしに驚く
自然なことに近いといってもいいほど
緩やかな旅立ちを迎えるあなたの

動揺はあらゆる混乱に繋がるから
あえて断つことを決め
腹も決める
それでも泣くだろうか
わたしは
葬儀での笑いというものをあまり信じない
田舎のしきたりの陰口も

それでも泣くだろうか
なににたいして

旅立つとはなんなのだろう
あなたにとって
わたしにとって
誰もそれを避けられぬなら
あなたも避けたいだろうか

傷ついた街にあなたがいる
今夜もこの世界にいる
わたしのことは忘れたのを知っている
それでいい
手を握る誰かの温もりがあなたに
不安の代わりにあればいい

あなたの傍にいたひとが愛した花を
わたしは覚えている
そしてその鉢をわたしは愛するだろう
そのひとがどう生きたかをも考えるだろう

なんのために

生きているからわからない
生きていないと答のようなものすら見えない
ただ息をして明日を待とう
あなたと