2018 夏の終わりを迎えて

 

みわ はるか

 
 

台風が容赦なくたくさんやってきた夏だった。
ものすごい勢力の風と大粒の雨を一度にふりまいていった。
ニュースによると、各地のいたるところで交通網は麻痺し、車は横転。
家を飛ばされた人や、浸水被害にあった人まで。
テレビの画面を通してみる世界は恐ろしいものだった。
日本は自然災害にわりと多く見舞われる地域だとはいわれているが、こうも頻繁に来られては疲労困憊である。
被害にあわれた方が一生懸命に前を向いて掃除や後片付けをしている姿には本当に心がうたれた。
もちろん他人事ではないのでそういう時に備えた対策をしなければと思う。
小学生だったころは台風や大雪が降った日なんかはなんだかどきどきわくわくしていた気がする。
非日常な光景に教室の窓から食い入るように見つめていた。
友達とこれはすごいねすごいねと言葉を交わすことで気持ちが変に高まっていた。
だがしかし、大人になった今そんなことは言ってられない。
風でもしガラスが割れたら、もし雨漏りしたら、考えても考えても嫌な光景ばかりよぎる。
雪の中いくら除雪がしてあるとはいえ車での運転はものすごく億劫だ。
天気予報で台風の接近や大雪情報が流れようものならうらめしくお天気お姉さんを見る日々だ。
ただ、防ぎきれるものでもないのでどこかあきらめている自分もいる。
日本全国の大人のみなさんはそんな感じなのかな??

9月半ばにに東京へ行った。
妹の所へ行った。
日本橋や人形町、資生堂パーラー、銀座SIXなど少し観光もしたけれど普通にスーパーとか近所の図書館へも行った。
東京の野菜は驚くほど高かった。
この夏は元々野菜が高値になっていたこととも関係あるのだろうけれどびっくりした。
普通に一緒にご飯を作って、食べて、ゴミをまとめてゴミ捨て場まで持って行った。
ただただ普通のことだけれど、わたしが知らない間に妹はたくましく一人で生きていた。
あの複雑な鉄道も乗りこなしていたし、ゴミの分別もきちんとしていたし、図書館で小難しそうな本も借りていた。
時間になったら起きて仕事に向かっていたし、昼休みの時間を利用して銀行にも足を運んでいた。
遠いところに住んでいるのでやっぱり心配だけれど、姉が思う以上に妹は強かった。
わたしが行きたかった観光地も嫌な顔せずに予定をたててくれて一緒に行ってくれた。
最後東京駅でお土産を選ぶときも優柔不断でなかなか決められないわたしに根気強く付き合ってくれた。
新幹線の時間が近づき改札まで送ってくれた。
その姿はやっぱりたくましかった。
わたしは安心して帰りの新幹線に乗ることができた。
この夏、妹と会えてよかったと思った。
数時間して地元の最寄駅に着いた。
田園風景と山々が広がっている。
ふぅ~と深呼吸した。
わたしは田舎の方がやっぱり好きだなと思った。
とぼとぼとキャリーケースを引きながら、夜風に当たりながら家までの道を歩いた。
その日の月は半月で深い輝きがあった。

10月がやってきた。
わたしが大好きなモンブランが出回る季節だ。
鈴虫の鳴き声も心地いい。
落ち葉をくしゃくしゃと靴で踏む音は面白い。
ベランダにつるしてあった銅製の風鈴を回収しながら秋の到来を楽しむ気持ちがわいてきた。