家族の肖像~「親子の対話」その7

 

佐々木 眞

 

 

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「お母さん、ぼく、さいたま市好きですお」
「そう、それは良かったね」
「さいたま市は、浦和、大宮、与野市からできたんだよ」
「そうなの?よく知ってるね」

「お父さん、京王線、京浜東北線に似ていたよ」
「へえ、そうだった」
「そうですよ」

「お父さん、「再び」は再放送の再でしょ?」
「そうだよ」

「お父さん、無理しちゃだめでしょ」
「そうだよ」
「お父さん、無理の無って無いの無でしょ?」
「そうだよ」
「僕、無理しなかったよ」
「そうかい」
「無理よ、無理よ、無理よ」

「お父さん、小田急の回数券買った?」
「買ったよ。今日藤沢まで行って11枚買ってきたよ」
「wwwwww」

「お父さん、みなさんの英語は?」
「レディーズ・アンド・ジェントルメンだよ」
「みなさん、みなさん」

「おとうさん大弱りってなに?」
「とても困ってしまうことだよ」
「大弱り、大弱り」

「お母さん、コレステロールてなに?」
「血液の中のあぶらのことよ」
「コレステロール、コレステロール」

「お父さん、ちょっと待ってねの英語は?」
「ウエイト・ア・モーメントだよ」
「ちょっと待ってね」

「ぼく、明日ふきのとう舎から帰ってきますよ! 帰ってきますよ!」
「耕君、ほんとうはファミリーナ宮下行きたくないの?」
「行きたくないお」

「ぼく「トイレの紙そんなに使うな」って言われちゃった」
「そうなんだ」
「「耕さんダメ」っていわれちゃったの」
「それでファミリーナ行かないの?」
「そうだお」

「お母さん、戦争ってなに?」
「国と国とが戦うことよ」
「戦争嫌ですねえ」

「お母さん、崖好きですお」
「ガケ?」
「崖、高いですお」

「お母さん、ぼく常用漢字いっぱい書きますよ」
「いっぱい書いてね」

「お母さん、哀愁って悲しいことでしょう?」
「そうよ」
「あいしゅう、あいしゅう」

「お母さん、侮辱ってなに?」
「馬鹿にすることよ」
「侮辱、嫌ですねえ」

「林さんの心臓止まったの?」
「そうよ」
「心臓止まるの、嫌ですねえ」

「お父さん、ワイドドア凄いよね」
「どこのワイドドア?」
「小田急だよ」

「お母さん、志ってなに?」
「思いよ」
「こころざし、こころざし」

「お父さん、分かりませんの英語は?」
「あいどんとのお」
「分かりません、分かりません」

「お父さん、入るときはお邪魔します、失礼しますでしょ?」
「そうだよ」
「失礼します」

「お母さん、火元責任者ってなに?」
「火の管理をするひとよ」

「お母さん、マナーモードってなに?」
「電車の中でうるさいくしないようにすることよ」
「マナーモード、マナーモード」

「マナーモードってなに?」
「携帯が聞こえないようにするのよ」
「耕君、マナーモードをやめる?」
「いやだお」

「お母さん、心配の配ってくばること?」
「そうかあ、心をくばることが心配するってことなんだ」
「そう、そうですお」

「お母さん、麻薬ってなに?」
「痛い時のお薬よ」
「伊藤蘭が「麻薬なら私のところにあるわ」って言ってたよ」
「へええ、そうなの」

「こうぞうさん、先生だったでしょ?」
「そうよ」
「体調崩したのはこうぞうさんでしょう?」
「そうよ」

「横須賀ってぼうえい大学があるとこでしょう?」
「そうよ」

「お父さん、いとこの英語は?」
「カズンだよ」
「いとこ、いとこ、いとこ」

「お父さん、さらには、ってなに?」
「もっと、だよ」
「さらに、さらに、さらに」

「お父さん、陰は山陰線のかげだよね?」
「そうだよ」

「お父さん、残酷ってひどいことでしょ?」
「そうだよ。良く知ってるね」
「ざんこく、ざんこく、ざんこく」

「お父さん、意地っ張りって、頑固なことでしょう?」
「そうだよ」

「お父さん、約束の英語はなに?」
「プロミスだよ」
「僕、約束守るよ」

「お母さん、デートてなに?」
「待ち合わせて人と会うことよ」
「ぼく、デート好きだよ」

「お父さん、正面てなに?」
「wwww」

「お父さん、要らないの英語は?」
「ノット・ネセサリーかな」
「要らない、要らない」

「お母さん、圧死ってぺっちゃんこになることでしょ?」
「えっ、どうしてそんなこと知ってるの?」
「圧死、圧死、圧死」

「お母さん、早くいらっしゃいって、早く来なさいのこと?」
「そうよ」

「お母さん、つまらないってなに?」
「面白くないことよ。耕君、つまらないの?」
「つまらない、つまらない、つまらない」

「お父さん、支えるって助けること、でしょ?」
「そうだよ。耕君、誰を支えますか?」
「ぼく、お母さん支えますよ」

「お母さん、おっかさん、てなに?」
「おかあさんのことよ」
「おっかさん、おっかさん」

「お母さん、バクダンってなに?」
「バクダンはねえ、バーンていうやつよ」
「バクダン、嫌ですねえ」

 

 

 

家族の肖像~「親子の対話」その7」への2件のフィードバック

  1. お子様の素直な質問と、それに答える御両親の温かい気持ちが、よく伝わりました。

    • 芥もく太様 
      ありがとうございます。長男はもう40歳を超えた大人なのですが、脳に障がいがあることによって永遠に純な子供であり続けているようです。

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