本物の血

 

尾内達也

 
 

 

凡庸な聲があるように
非凡な聲がある

TRUE BLOOD

その聲は非凡か凡庸か
朽ちてゆく ことごとく朽ちてゆく
ガダルカナルの草原に固まった
水陸両用上陸艇
―鉄の塊の
その車体のペンキの落書きを
最初に発音した男
―その最初の聲

TRUE BLOOD

真っ赤な向日葵が咲いている
真っ赤な夕陽の中で

いつから静止を静止と
いつから動きを動きと
影が踊る
時と踊る
色が歌う
夜と歌う
形が笑う
鳥と笑う
有と無が侵しあい
生と死が侵しあう
その光の中へやって来たのである

TRUE BLOOD

その最初の聲と
最後の聲がいま
入れ替わったとしても
だれがそれに気づくだろうか

 

 

 

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