冬空のもとで

 

ヒヨコブタ

 
 

ひとつき前はいまを想像できずにおり
ひとつき後をいま考えるのはよそうと

色がついて見えるような景色の日はさいわいだけれど
そんな日々ばかりでもないことにうつむくこともないのかもしれなくて
わたしはもうずいぶんと永く生かされている気がするのだ
あるはずもなかった日々が穏やかでなくとも
悲しみすぎることもないのではないか
悲しみとさみしさはいつでもこちらを向いて待っているから
わたしはふふと笑い飛ばすんだ
そうできぬときには横たわるけれど

流行り病が収まらぬなかのあらゆる不穏は
じぶんのなかで増幅させることをやめる
さんざん繰り返してもう厭きたじゃないかとふふと笑うんだ

このあたりの冬の空は青く覚えている冬の淀みがときどき懐かしい
雪も氷もどんなだったろう
暖かさのなかにいるときにだけ
ほんとうに思い出せばいいほど芯から冷える冬に

 

 

 

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