EINGANG

 

工藤冬里

 
 

どこから言葉を出してもいいわけだけれども
それをしないのは
それがロック史に抵触しないからだ
どの切断面にも洪水の記憶が残っていて
古い地層が衝き上げられている

切断面の中を歩き回るというのは
瑪瑙の中を動く虫のように出口がない
衝き上げる断層の動きを出口と錯覚して
抜け道を探すプロセスを抜け道そのものと錯覚しているだけだ

サウンドスケープ内には
カエルも居れば牛も居る
ミ・レドレミソミー
というメロディーを想い出したが
何の曲かは思い出せなかった

口頭

白く塗れば目立つが
墓は誰にも気付かれない
外側を作った者は内側も作った
内側は

汚れがはっきり見えない

目立たないことで 蹴つまずく

大葉の意義に
コリっと 木琴
嵌るのは六角形
仰け反ると増え過ぎる彩度

溺愛したので 逸れなかった
赤子は渡り廊下のカラス
低音の若造

溺愛

ワーゲンバスに
明確な一線を引く
低音で性を語る

EINGANG 入口

不安を感じる高音

Deaden your body members that on the earth as respects uncontrolled sexual passion

Deaden

サントーム(sinthome)
Sans toi ma mie、

幻想の機能不全。

サタンの妄想

享楽。象徴界から拒絶され、現実界に再出現した真理。ラカンは「白痴的な享楽の染み込んだシニフィアンの断片」をサントームと呼ぶ。

他者はいない。

「サントームを生き抜け」みたいな詩を書くと思ったら大間違いだ

書き込まれる

昔は赤ん坊が沢山いた

味噌汁の椀を覆(カヤ)す

入口が 出口だったのだ

 
 

 

 

 

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