野苺を供えて

 

爽生ハム

 

 

お墓の手前まではうねり道で、
蛇はそこでしか
のたうちまわる事をしない。
砂利がつっかけ側にはいかず、
足の裏をつつく
痛さ比べをよくしたもんだ。
足の裏がふたつかみっつ、宙に浮いた。足の指で威嚇しあってあたためあう。
ここに蛇が噛みついたと思うと
ぞっとする、たぶん誰かが噛まれるんだろう。
誰かが先に怪我をして、誰かがあとで介抱する。そして泣きわめく事もするだろう。
先祖は冷や汗をかきながら、凝視してると思う。
確か、確かな事は、たぶん僕らは
野苺に助けられたんだろう。
いつも野苺がなっていたし、いつも野苺に見惚れていた。
いつもその先へ行かなかった。
墓石という言葉も、蛇の抜け殻も知らないまま、あの頃を過ごしていた。たぶん僕らは野苺に助けられたんだろう。

 

 

 

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